油圧駆動装置を構成する機器の総称。油圧ポンプ、油圧モーター、油圧シリンダーのほか、各種制御弁、アキュムレーター、フィルター、油タンクなどが含まれる。油圧ポンプ、油圧モーターとしては容積型のものが用いられ、歯車型、ベーン型、ピストン型などがある。容積型ポンプとモーターは、容積が周期的に増減する空間を利用し、容積が増加する間に一定量の流体を吸い込み、減少する間に送り出すものである。制御弁には回路の圧力を制御するリリーフ弁、カウンターバランス弁や、流量を制御する流量調整弁、絞り弁、分流弁、流れの方向を制御する方向切換え弁、逆止め弁などがある。
これらの機器を管によって接続し、油圧回路を構成する。油圧ポンプによって油にエネルギーを与え、圧力を高めて油圧モーターまたは油圧シリンダーに送り、それらの機器によって油から動力を取り出し、各種機械を運転する。伝達すべき動力の増大に伴って回路圧力も増大し、現在では通常10~20メガパスカルの圧力が用いられ、35メガパスカルにすることもある。このような構成の油圧伝動装置は、強い力が得られ、速度も自由に調整でき、過負荷に対する安全装置も簡単であるなどの長所をもつ。工作機械をはじめ荷役機械、パワーショベルなどの建設機械、船舶、航空機の諸装置の駆動および制御に広く用いられている。
[池尾 茂]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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