津野(町)(読み)つの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「津野(町)」の意味・わかりやすい解説

津野(町)
つの

高知県の中西部、高岡(たかおか)郡の町。2005年(平成17)に高岡郡東津野村(ひがしつのむら)と葉山村(はやまむら)が合併して成立。北西部は標高1200~1400メートルの四国カルストで愛媛県と接する。天狗(てんぐ)高原(1485メートル)のほか北部には黒滝(くろたき)山(1367メートル)、不入(いらず)山(1336メートル)、鶴松森(かくしょうもり)(1100メートル)、黒川森(1004メートル)などの高山が連なり、東西に仏像構造線が走る。東部を新荘(しんじょう)川が東流し、西部を四万十川、北川川が南流する。構造線に沿う地溝帯を国道197号、北川川沿いに国道439号が走る。

 四万十川上流の船戸遺跡(ふなといせき)は縄文早期の遺物包含地、新荘川沿いの新土居遺跡(しんどいいせき)は縄文時代の遺物包含地。中世には津野荘に含まれ、同荘を背景として勢力を伸ばした津野氏が新荘川北岸の姫野々(ひめのの)城に拠った。津野荘からは五山文学の双璧と賞された南北朝時代の義堂周信(ぎどうしゅうしん)、室町初期の絶海中津(ぜっかいちゅうしん)が輩出したが、戦国時代後期には一条氏に支配された。新荘川・四万十川などの上流地域は茶・紙の生産が盛んで、1751年(宝暦5)には土佐藩専売制に関連する商人の不正に抗議して、百姓一揆にまで発展しようとした。

 山林率は約90%、林業のほか米作、茶、クリ、シイタケナスコンニャクイモなどを生産する。四国カルスト県立自然公園に含まれる天狗高原や、四万十川の源流域を占める不入山、船戸渓谷など景観に恵まれる。津野山古式神楽は国指定重要無形民俗文化財の「土佐の神楽」の一つ。北川の高野(たかの)にある鍋蓋(なべぶた)上廻し式の舞台(高野の舞台)は国指定重要有形民俗文化財。面積197.85平方キロメートル、人口5291(2020)。

[編集部]


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