改訂新版 世界大百科事典 「洪沢湖」の意味・わかりやすい解説
洪沢湖 (こうたくこ)
Hóng zé hú
中国,江蘇省北部,大運河の西にある湖。面積2069km2(中国第7位)。最大水深5.5m。淮河(わいが)をはじめ,黄河と長江(揚子江)の中間にある多くの中小河川が注ぎ,三河,高郵湖を経て長江に排水されるが,1952年東岸の洪沢県(高良)から黄海に向けて蘇北灌漑総渠が設けられた。湖は洪水の調整や灌漑に機能を果たすほか,養魚,水運にも利用される。湖が形成されたのは新しく,隋代以前は淮河の南岸に群小の湖沼があったにすぎなかったが,金・元以降,黄河の本流が南へ移動し,淮河の下流をふさいだ結果,積水によってそれまでの湖沼群がつながって一つになった。明代には東岸に堤防が築かれ,湖面は北西に急速に拡大し,黄河がもとに戻ってもそのままに固定された。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報