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海景画 かいけいが

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

海景画
かいけいが

風景画の一ジャンル。海そのもののほか,港や漁師,船舶など,海にかかわりあるものを主題とする絵。ホメロスの『オデュッセイア』の一場面を描いたギリシアの壺絵やポンペイの壁画など,古代にも例はあるが,風景画そのものが確立されていなかったためか,その数は少ない。中世にも,旧約聖書のヨナとクジラの物語を主題とした海が登場するものはあるが,海景画というにはほど遠い。ルネサンス時代になると,ビットーレ・カルパッチオの『聖女ウルスラ伝』などに海や船が登場するが,海景画に本格的な先鞭をつけたのはピーテル・ブリューゲル (父) で,『ナポリの港』『嵐の海』などの重要な作品がある。ブリューゲルの伝統を継いで海景画の黄金時代を築いたのが 17世紀のオランダの画家たちで,海運国としてのオランダの隆盛を背景に,海戦の図,ないだ海,嵐の海などさまざまな光景が描かれた。ウィレム・ファン・デ・フェルデ,E.ウィッテ,A.コイプ,R.バックフィゼン,ヤン・J.ファン・ホイエンなどが輩出した (→フランドル美術 ) 。一方フランスではクロード・ロランが朝夕の太陽の光の効果を巧みにいかした古典的海景画を確立した。 18世紀に入ると A.カナレット,F.グァルディ,A.マニャスコ,S.ローザなどが特色ある海景画を残した。フランスの J.ベルネは月光に照された詩情豊かな夜の海を描き,ロマンチックな海景画の先鞭をつけた。 19世紀に入ると風景画が重要なジャンルとして歴史画や神話画に取って代わったが,特にドイツの C.フリードリヒとイギリスのジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーは,自然と人間との関係を風景を通じて問い直し,海景画にも数々の傑作を生んだ。写実主義 (リアリズム ) と印象主義の時代に入っては,ギュスターブ・クールベ,エドゥアール・マネ,クロード・モネ,ジェームズ・M.ホイッスラー,ポール・シニャック,アメリカ合衆国のウィンズロー・ホーマーなどが新しい時代にふさわしい海景画を創造した。 20世紀に入っても,E.ノルデ,O.ココシュカ,L.ファイニンガー,ラウル・デュフィ,アルベール・マルケなどの画家が個性豊かな海景画を残している。

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