一定期間中の温度の最高値および最低値を,一つの装置で知ることができるように作った温度計。古くはヨハン・ベルヌーイの考案したものもあり,また現代では,各種の温度計に機械的または電子的な補助部品を加えることによって目的を達することもできるが,液体温度計にくふうを加えて成功した例としては,J.シックスが1782年に考案したものが著名で,広く利用されてきている。図のように,U字形ガラス管の下部に水銀が,また上部両側に石油など有機液体の感温液と鉄片付きガラス小片(虫という)とが入れてあって,虫はばねで管の内壁に接触し外から磁石で動かされ任意の位置にとどまるようになっている。両方の虫を水銀柱上端までいったん下げてから温度変化を感じさせると,感温液の膨張,収縮に伴う水銀柱移動で虫が押され,左側の虫は最低温度の位置,右側のは最高温度の位置にとどまる。
執筆者:高田 誠二
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ある期間、たとえば1日における最高と最低の温度を測る温度計。U字型のガラス管に二つのトルエン溜(りゅう)をもち、その一方には気泡が入れてある。気温が高くなると気泡の膨張によってトルエンが押し出され、水銀柱は気泡と反対の方向に動く。また気温が低くなると、気泡は収縮するために水銀柱は前とは逆の方向、すなわち、気泡の入ったトルエン溜の方向に移動する。U字型のガラス管中の水銀柱の両端にコバルト入りの青いガラスが入っているが、これを磁石で水銀柱の頭に密着させておくと、水銀柱の動きにしたがって二つのコバルトガラスはそれぞれ、ある期間の最高温度と最低温度を記憶する。
[渡辺 昂]
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