液肥(読み)エキヒ

デジタル大辞泉 「液肥」の意味・読み・例文・類語

えき‐ひ【液肥】

液状肥料糞尿混合物や、化学肥料を水に溶いたもの。水肥すいひ・みずごえ

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精選版 日本国語大辞典 「液肥」の意味・読み・例文・類語

えき‐ひ【液肥】

  1. 〘 名詞 〙 液体の肥料。人の糞尿(ふんにょう)の混合物、風呂水、台所下水動物はらわたなどの廃棄物水中に投入して腐敗させたもの、水に溶解した化学肥料などの総称水肥。掛け肥。
    1. [初出の実例]「四月の実習のはじめの日、液肥(エキヒ)をはこぶいちにちいっぱい」(出典:春と修羅(1924)〈宮沢賢治小岩井農場)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「液肥」の意味・わかりやすい解説

液肥
えきひ

液体状肥料のこと。施すと肥料効果がすぐに現れることが特徴で、追肥に適している。使用の歴史は古く、たとえば人糞尿(じんぷんにょう)の使用は江戸時代以前にさかのぼる。しかし、液体アンモニアアンモニア水(安水)、液体複合肥料など近代的な液肥の製造と使用は比較的最近のことである。液肥を土壌に施用した場合の肥効固体のものと本質的に変わりはないが、葉面散布では明らかに効果的である。液肥は、バルブ開閉とポンプで肥料が簡単に動くことから、大規模な省力作業に適していて、アメリカでは1960年代から著しく普及した。日本では葉面散布用、あるいは施設栽培などで、水で希釈して用いる液肥として使われ、大部分容器に入れられて流通している。

[小山雄生]

『伊達昇・塩崎尚郎編著『肥料便覧』第5版(1997・農山漁村文化協会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「液肥」の意味・わかりやすい解説

液肥
えきひ
liquid fertilizer

液体の肥料のこと。原形が粉末や粒状などの固体でも,施与するときに溶かして液体にしたものも含める。水肥 (みずごえ,みずひ) ともいう。市販されている液肥は,肥料取締法に基づいて液状複合肥料,液状窒素肥料,液体リン酸肥料,液体ケイ酸カリ肥料などに分類され,生産業者保証票の肥料の種類欄に記載されている。このなかで登録数,生産量が最も多いのが液状複合肥料で,保証成分は3要素 (窒素,リン,カリウム) のうちの2要素以上,合計最小量8%以上と規定されている。物体散布や土壌灌注をはじめ,施設園芸の灌水,水田流し込みなどの多くの栽培法に用いられる。吸収性がよく,適時に適量だけ施すことができるために過剰施肥による河川や地下水の水質汚染を防ぐ効果がある。また,速効性があり,追肥として使われるが,効果のある期間は 10~14日と短いために肥料切れを起こしやすい。一方,培養液は,植物の生育に不可欠な無機元素を配合して溶かした水溶液のこと。土の代わりに固形の培地や水中に根を張らせて栽培する養液栽培に用いるもので,肥料を水で薄めてつくる方法もある。

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