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混合診療 こんごうしんりょう

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知恵蔵2015の解説

混合診療

保険診療と、私費による自由診療とを組み合わせること。日本では原則として禁止されているが、例外として特定療養費制度が設けられ、差額ベッドなどの選定療養と、大学病院など特定の医療機関で行う高度先進医療が認められている。政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)や経済界の強い主張を受け、2004年12月、混合診療の大幅な拡大が決まった。しかし、全面解禁は見送られ、混合診療の対象となる医療技術を安全性に配慮した上で「例外」として個別に認める、現行の仕組みの延長線上での拡大となった。拡大により従来の選定療養と高度先進医療に加え、(1)国内未承認薬が治験の対象となれば混合診療が認められるようにし、欧米で承認された薬は自動的に治験の対象として早期に治験の可否の結論を出す、(2)必ずしも高度でない先進技術にも適用し、2000程度の医療機関で実施できるようにする、(3)ピロリ菌除去など一定回数を超えると保険が利かなくなり保険対象の費用も含めて全額自己負担となる診療は、回数を限定して混合診療を認める、などが決まった。混合診療を巡っては、私費の部分が拡大すると保険財政を安定させる半面、保険医療の水準が低くなる恐れがあると指摘されている。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

混合診療

健康保険からお金が出る「保険診療」と保険がきかない「自由診療」を組み合わせたもの。一部の先進医療を除き原則認められず、受診した場合はすべて保険対象外となる。解禁で患者負担が減る一方、金持ちだけが質のよい治療を受けられるとの理由で慎重論も根強い。

(2013-09-11 朝日新聞 朝刊 1総合)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

こんごう‐しんりょう〔コンガフシンレウ〕【混合診療】

公的医療保険制度が適用される保険診療と、適用されない自由診療とを併用した診療のこと。
[補説]併用した場合は公的保険が適用されずに全額負担となる原則があるが、平成19年(2007)11月東京地裁が、併用を禁止した国の政策には法的根拠がないという判断を示した。また、平成18年(2006)改正健康保険法では、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、厚生労働大臣が認める評価療養選定療養の場合は、保険診療部分について保険外併用療養費を支給すると定めた。また、平成20年(2008)4月に高度医療評価制度が新設され、治験などを除き認められないケースの多かった先進医療を対象とする混合診療による保険外併用療養費制度の利用拡充が一層図られることとなった。

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百科事典マイペディアの解説

混合診療【こんごうしんりょう】

健康保険などの公的医療保険が適用される診療と,保険適用外の私費による自由診療を組み合わせること。私費の診療が拡大すると保険財政は改善されるにしても,保険診療の水準低下を招く危険があり,差額ベッドなどの〈選定療養〉や特定の医療機関で行う高度先進医療の〈特定療養費制度〉(心臓移植など)という例外を除き,日本の現行制度では禁止されている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

こんごうしんりょう【混合診療】

公的な保険の適用を受ける保険診療と、適用を受けない自由診療を併用した診療。原則として禁止され、自由診療を併用した場合、保険適用を受ける部分も全額自己負担となる。混合医療。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

混合診療
こんごうしんりょう

疾病に対する一連の医療行為において、公的医療保険の対象となる医療行為(保険診療)とそれ以外の医療行為(保険外診療=自由診療)を併用(混合)すること。保険診療の場合は費用の一部が患者負担、自由診療の場合は全額が患者負担となる。日本では混合診療を原則として禁止しており、それを行った場合は、保険診療部分を含むすべての医療行為に関する費用が自由診療扱い(全額患者負担)となる。混合診療の禁止は「保険診療でだれもが必要にして適切な医療を受けられる」という国民皆保険の理念に基づくものであり、それを解禁した場合には、以下のような事態が生じるおそれがある。(1)患者に対して保険外の負担を求めることが一般化し、患者負担が不当に拡大する、(2)安全性や有効性等が確認されていない医療が保険診療とあわせて実施される、(3)患者の支払能力の格差が医療内容の格差をもたらす、(4)保険診療が低い水準に固定される、(5)医療資源の配分効率を低下させる。
 しかし、高度経済成長を経て、国民生活の向上、患者ニーズの多様化、医療技術の進展などに対応して、必要にして適切な医療を確保するための保険給付と、患者の選択にゆだねることが適当とされる医療との調整を図ることが求められるようになり、1984年(昭和59)の健康保険法等の改正で、高度先進医療および選定療養について、保険診療と自由診療との併用を認める「特定療養費制度」が導入された。この制度は、特定承認保険医療機関(高度先進医療を担うものとして厚生大臣(現、厚生労働大臣)が承認した病院)が行う「高度先進医療」について、保険診療に該当する部分の医療費は特定療養費として保険から給付し、保険外診療である先端医療部分はすべて患者の差額負担とするというものである。高度先進医療は安全性、有効性、効率性、普及性などからみて一般の医療機関でも実施可能と認められた場合は、保険診療に組み入れることとしており、先端医療技術が自由診療から保険診療へ移行する過程に対応した制度でもある。「選定医療」は、医療の本質とは関係なく、患者の選択にゆだねてもよいサービスのうち厚生大臣が承認したもの(差額ベッド、義歯の材料、予約診療など)について、基礎的部分を選定療養費として保険から給付し、残りを患者の差額負担としたものである。
 2004年(平成16)に内閣総理大臣の諮問機関である規制改革・民間開放推進会議から混合診療を容認すべきとの主張がなされた。その理由として、(1)高度先進的な医療を患者が選択しやすくなる、(2)医療機関や医師の競争が活発化し医療の効率性が促進される、(3)医療のビジネスチャンスが広がる、(4)室料などのアメニティ部分に係る費用は保険診療から除外すべきだ、といったことがあげられた。こうした主張を受けて2004年12月、厚生労働大臣と規制改革担当大臣の間で「いわゆる混合診療問題に係る基本的合意」が成立し、それに基づき2006年に医療保険制度改革の一環として特定療養費制度が廃止され(特定承認保険医療機関も同年廃止)、かわって「評価療養」と「選定療養」について保険診療と自由診療の併用を認める「保険外併用療養費制度」が導入された。
 評価療養は、「先進医療」(従来の高度先進医療に加えて中度の先進医療も対象とし、医療機関からの申請を受けて先進医療専門家会議が評価し、当該先進医療を行うことのできる医療機関の要件を定め、厚生労働大臣が告示したもの)のほか、医薬品の治験に係る診療、保険適用前の医薬品・医療機器の使用などが対象となっている。また、選定療養は、患者の選択にゆだねてもよいもののうち厚生労働大臣が定めるもので、差額ベッド、予約診療、時間外診療、200床を超える病院で紹介状なしの初診、180日を超える入院、歯科の金合金・金属床総義歯など10項目が指定されている。
 2008年に、薬事法の未承認・適応外となっている医薬品や医療機器を使用する医療技術を一定の要件の下に「高度医療」として認め、保険診療と併用できることとし、薬事法上の承認申請および保険適用につなげる科学的データ収集の迅速化に努めるとした「高度医療評価制度」が導入された。続いて2012年に先進医療制度の見直しが行われ、上記の高度医療と先進医療(未承認等の医薬品・医療機器を使用しない医療技術)を先進医療として一本化した。これにより、未承認・適応外の抗癌(がん)剤等を使用する医療技術を保険診療との併用可能な先進医療に取り入れることが早められることとなった。
 また、混合診療をめぐって、健康保険法にはそれを禁止する明文規定がないことから、混合診療に保険適用が認められないのは不当であるとして行われていた訴訟において、2011年に最高裁は、原告の上告を棄却し、混合診療を原則として禁止していることは適法であるとの判決を下した。その判決では、無制限に混合診療を認めると患者負担の不当な増加を招くことを指摘し、特定の診療に限り混合診療を認める「保険外併用療養費制度」で対応するのが妥当であるとしている。これまで幾度か提起されてきた混合診療禁止の法的妥当性をめぐる問題は、この最高裁判決でいちおうの決着をみたことになる。
 さらに、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関連して、混合診療禁止の状況に対してアメリカからその変更を迫られることへの危惧(きぐ)をめぐって多くの議論が行われている。[土田武史]
『川渕孝一著『日本医師会総合政策研究機構報告書第15号:保険給付と保険外負担の現状と展望に関する研究報告書』(2000・日本医師会総合政策研究機構) ▽二木立著『TPPと医療の産業化』(2012・勁草書房) ▽池上直己著『ベーシック 医療問題』第4版(日経文庫)』

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