湿度計(読み)シツドケイ(英語表記)hygrometer

翻訳|hygrometer

デジタル大辞泉 「湿度計」の意味・読み・例文・類語

しつど‐けい【湿度計】

相対湿度を測定する装置。毛髪湿度計乾湿球湿度計露点湿度計などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「湿度計」の意味・読み・例文・類語

しつど‐けい【湿度計】

  1. 〘 名詞 〙 湿度をはかる計器。湿度による物質(たとえば脱脂した毛髪)の伸び縮みを利用した毛髪湿度計や、二本の温度計を用い、一方の球部を布でつつみ水にひたして湿球とし、他方はそのままの乾球として用い、両温度計の示度の差から湿度を求める乾湿球湿度計(乾湿計)、露点湿度計などがある。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「湿度計」の意味・わかりやすい解説

湿度計 (しつどけい)
hygrometer

空気中の湿度を測定する器械。湿度計は相対湿度計と絶対湿度計に大別される。相対湿度計のおもなものは乾湿球湿度計,毛髪湿度計,露点計,電気抵抗式湿度計である。

乾湿計ともいう。同形同大の温度計を2本並べ,一方の感温部をガーゼで包んできれいな水で湿らせたものである。感温部の湿らせた方を湿球,他を乾球という。湿球の示度は水の蒸発のために乾球の示す気温より下がっている。湿球と乾球の示す温度差は水の蒸発量に依存しており,水の蒸発量は空気中の水蒸気圧に依存している。このため,湿球,乾球両方の示度を読み取り,乾湿計の実験式を用いて水蒸気圧,相対湿度を求めることができる。湿球の周りの風が変化すると蒸発も変化して,湿度が同じでも湿球の示度は安定せずよい測定ができない。乾球と湿球の周りに一定の速さの風を当てる装置を付けた通風乾湿計では精度のよい測定ができる。世界気象機関(WMO)で定めた標準的な湿度計はこの型のものである。気象庁型通風乾湿計は室内または百葉箱の中で使用するように作られたもので,測定の精度は最もよい。1892年にドイツの気象学者R.アスマンが発明したアスマン通風乾湿計は携帯用で野外の測定に便利である。

毛髪の長さが相対湿度につれて変化する性質を利用したもので,18世紀末にスイスの物理学者H.B.deソシュールによって発明された。毛髪湿度計は精度はやや劣るが,相対湿度を直接指示するので広く使用されている。毛髪の長さの変化と相対湿度とは正比例するものではないので,相対湿度の目盛を等間隔にするため複雑なカム機構を取り入れた湿度計が多いが,これは毛髪に無理な力がかかり,測定の精度が悪くなるおそれがあるので,目盛は等間隔でなくても,構造の簡単なほうがよい。毛髪に強い力が加えられたり,湿度が数時間以上にわたって10%以下になったりしたときは,示度が狂うことがあるので再検定が必要である。

露点を測定する温度計をいうが,露点と気温がわかれば湿度が計算できることから,湿度の測定のために使用される。おもなものとしては冷却式露点計と塩化リチウム露点計がある。冷却式露点計は金属鏡の温度を下げ,その表面に露または霜を結ばせることによって露点を測定するものである。塩化リチウム露点計は空気中の水蒸気圧と等しい水蒸気圧をもつ塩化リチウム水溶液を実現することによって露点を測定するものである。この露点計の感湿部は温度計を収めた金属管をグラスウールで覆い,その上に1対の加熱用電極線を巻き,塩化リチウムの水溶液を塗布したものである。電極線に交流電圧を加えるとジュール熱が発生して感湿部の温度が上がり,塩化リチウム溶液の水蒸気圧が周りの水蒸気圧と等しくなる温度で平衡するので,その温度から露点が求まる。

感湿部の電気抵抗が湿度の上下につれて吸湿・脱湿することによって変化することを利用したものである。感湿部は,塩化リチウムを混ぜた高分子化合物または炭素微粒子と湿潤剤などを混ぜたものを,電極の付いた絶縁材の基板上に付着させたもので,その含有水分が空気中の湿度と平衡を保つときの電気抵抗を測定し,抵抗特性から相対湿度を求める。

一定体積の空気の中に含まれている水蒸気を吸湿剤に吸着させ,その目方の増加によって水蒸気量を知って絶対湿度を求めるものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湿度計」の意味・わかりやすい解説

湿度計
しつどけい

湿度の測定器械。普通は%で表す相対湿度を対象にする。測定原理に基づいて述べると次のとおりである。

(1)乾湿計 水面からの水の蒸発は、空気が乾燥しているほど速い。乾湿計はこの原理を応用する。気温と、蒸発によって生じる温度低下を測定し、実験式を当てはめて湿度を計算する。蒸発速度は風速の影響を受けるので、一定風速を保つための通風装置が用いられる。携帯用は、発明者であるドイツの気象学者アスマンの名を冠してアスマン通風乾湿計とよばれる。簡便なわりによい測定値が得られる。

(2)露点湿度計 空気を冷却して、含まれる水蒸気が凝結する際の温度を測定する。結露の有無が判別しやすい金属面を冷却して露点温度を求め、これに対応する飽和蒸気圧を算定する。塩化リチウム露点湿度計は、ガラス繊維などに塩化リチウム水溶液をしみ込ませ、これに電気ヒーターの両極を巻き付けて加熱する。空気の蒸気圧と塩化リチウムの飽和蒸気圧とが一致する温度に達すると、ヒーターの電気抵抗が急に大きくなる。この際の温度から空気中の水蒸気圧が求められる。ヒーターに交流を用い、気温と塩化リチウムの温度を白金などの測温抵抗体を使って測定して露点温度を記録する測器はデューセルDewcelという商品名で製作され、遠隔測定用の湿度計として広く用いられるようになった。

(3)毛髪湿度計 ウシの腸膜や紙などは吸湿によって長さが伸びるが、そのような性質を利用していちばんポピュラーになったのは、毛髪の伸縮を利用した湿度計で、ポリメーターとよばれる指示型や、記録式の自記毛髪湿度計などがある。毛髪の感度は湿度が小さい場合ほどよいが、湿度が大きくなるときと小さくなるときで伸縮が異なったり、低温での動きが鈍いなどの欠点がある。ときどき通風乾湿計などと比較しながら使用するのがよい。

(4)カーボン湿度計その他 炭素の微粒子を入れた特殊な吸湿材を基板に塗ったもので、湿度が大きくなると炭素粒子の間隔が広くなり電気抵抗が増大する。水蒸気による光の吸収は波長によって異なり、赤外線は吸収されやすい。そこで、大気を通過した光を分光し、赤外線の強度比から水蒸気量を求めるのが赤外線吸収湿度計である。強い吸湿性をもつ五酸化リンを詰めた管を通して空気を吸引すると水分が除かれるので、五酸化リンの重量から吸収された水蒸気量がわかる。このほか、湿度によって電気抵抗値が変化するセラミックでつくった湿度計などもある。

[篠原武次]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湿度計」の意味・わかりやすい解説

湿度計
しつどけい
hygrometer

空気中の湿度を測定する器械。18世紀後半にはすでに使われていた。測定方式の違いにより,次のように分類される。(1) 毛髪自記(指示)湿度計 毛髪の伸縮する特性を用いる(→毛髪湿度計)。(2) 露点湿度計 塩化リチウムの吸湿性を利用し,露点を抵抗値の変化として検出し,気温との相関により湿度を求める。(3) 電気湿度計 静電容量変化を検出し,湿度を求める。(4) 通風乾湿計 乾湿球の温度差から表などにより湿度を求める。アスマン通風乾湿計,フース型乾湿計がある(→乾湿球湿度計)。気象庁相対湿度,露点,蒸気圧の観測に使用している測器は,電気式湿度計(静電容量型)である。湿度計の感部は高分子フィルムを絶縁体としたコンデンサ構造となっており,この高分子フィルムの吸湿性を利用し,相対湿度の変化による静電容量の変化を電気信号に変換する。この湿度計は上部にファンをつけたステンレス製の通風筒に取り付けられ,感部付近の通風速度を 4m/sに設定してある。当初は,高層気象観測用に開発された。

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百科事典マイペディア 「湿度計」の意味・わかりやすい解説

湿度計【しつどけい】

湿度を測定する測器。毛髪湿度計乾湿計露点計,電気抵抗湿度計などがある。地上の常温では通風乾湿計が取扱いが簡単で比較的精度がよく最も適している。極地や成層圏のような低温における湿度測定には露点湿度計,ラジオゾンデには電気抵抗湿度計,毛髪湿度計が使われる。
→関連項目湿度

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化学辞典 第2版 「湿度計」の解説

湿度計
シツドケイ
hygrometer

大気中の湿度を測定するのに用いられる機器.乾湿球湿度計,アスマン通風湿度計,毛髪湿度計,露点湿度計,吸収湿度計,電気抵抗式湿度計などがある.一般には乾湿球湿度計が使用される.

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