満蒙問題(読み)まんもうもんだい

改訂新版 世界大百科事典 「満蒙問題」の意味・わかりやすい解説

満蒙問題 (まんもうもんだい)

満蒙地方における日本権益ないし支配の維持をめぐる問題。満蒙とは中国の満州(現,東北部)および内モンゴル(蒙古)の地方を指す日本側の呼称である。日露戦争の結果,日本が南満州に関東州の租借権・南満州鉄道経営権などの権益を獲得すると,その維持をめぐる〈満州問題〉が提起されたが,1912年第3次日露協約で日本の勢力範囲が東部内蒙古へ拡張されたのにともない,〈満蒙〉の語が一般に用いられるようになった。この地方を中国から切り離して日本の支配下におこうとする試みとして,12年の第1次満蒙独立運動,16年の第2次満蒙独立運動があった。第1次世界大戦が国家総力戦として戦われ,資源問題が重大となり,満蒙の資源への要請が強まる一方,中国で反帝国主義運動が成長し,国民革命が東北に波及する形勢になると,満蒙権益への危機感が高まり,田中義一内閣のもとで満蒙分離政策が推進された。28年末張学良政権は国民政府に合流し,関東州・満鉄の回収をめざして,まず競争線の建設や低運賃で満鉄の独占打破をはかった。おりから世界大恐慌の影響も加わって満鉄の経営が創業以来の不振に陥り,土地商租権その他についても日中間に紛争が頻発する情勢に,30年末ころから満蒙権益の動揺が喧伝され,31年には松岡洋右造語による〈生命線満蒙〉の確保が高唱された。9月関東軍の謀略による柳条湖事件発端として満州事変が開始され,満蒙問題の武力解決が遂行された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「満蒙問題」の意味・わかりやすい解説

満蒙問題
まんもうもんだい

1945年にいたる日本近代史における満蒙 (現在の中国東北地方,内モンゴル) の日本の利権ないしは勢力圏に関する問題。主として 1920年代に日本の外交政策上重要な地位を占めた。高揚する中国民族主義に対し,明治以来の日本の権益を固守しようとして問題にされた。

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