溜める(読み)タメル

デジタル大辞泉 「溜める」の意味・読み・例文・類語

た・める【×溜める】

[動マ下一][文]た・む[マ下二]
少しずつ集めて量をふやす。集めたものを減らさずに取っておく。集めたくわえる。「雨水を―・める」「目に涙を―・めて哀願する」
(「貯める」とも書く)たくわえを多くする。「小金こがねを―・める」
力などを発揮するのをぎりぎりまで押さえて、たくわえておく。「腰を―・めて打つ」
物事の決まりをつけず、とどこおらせる。なすべき物事をかたづけないまま残してしまう。「仕事を―・める」「家賃を―・める」
釣りで、さおの弾力性を利用して魚の引きに耐え、魚を弱らせる。
とどめる。とめる。
「追っかけて討手をだに下したらば、敵、足を―・むまじかりしを」〈太平記・八〉
[類語](1蓄える集める貯蔵する蓄積する集積する蓄蔵する貯留する/(2貯蓄する蓄財する貯金する積み立てる/(4延納する延滞する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「溜める」の意味・読み・例文・類語

た・める【溜・留】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]た・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. とどめる。とめる。
    1. [初出の実例]「明日香の川の 水脈(みを)速み 生(む)し多米(タメ)難き 石枕 蘿(こけ)生すまでに」(出典万葉集(8C後)一三・三二二七)
    2. 「暫時も我宿に尻もためず」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)四)
  3. 集める。積む。また、処理しないままに積み重ねる。
    1. [初出の実例]「きの家のくせにのこれる言の葉は花こそたむれちりの上まで」(出典:安法集(983‐985頃))
    2. 「部屋代溜めちゃって」(出典:最後の時(1966)〈河野多恵子〉)
  4. 流れをせきとめて、水などを集め湛(たた)える。
    1. [初出の実例]「朝毎に置く露そでに受けためて世のうき時の涙にぞ借る〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)秋中・三一五)
  5. 財貨をたくわえる。貯蓄する。
    1. [初出の実例]「始末大明神の御託宣にまかせ、金銀を溜(タム)べし」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)一)
  6. 次の動作に移るために力をたくわえる。
    1. [初出の実例]「腰をためるように構え」(出典:半チョッパリ(1971)〈李恢成〉一)
  7. 魚の強い引きを釣竿または腕でこらえる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android