ある感染症の疑いがある者やその者の体液に直接触れたり、閉鎖的な空間で長時間の接触があった者。通常は保健所での調査によって特定された者をさす。このことばが一般に認知されるようになったのは、2019年末に中国・湖北(こほく)省武漢(ぶかん)市で初めて確認され、以後世界中に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)においてであるが、呼吸器を介して感染するその他の感染症においても用いられる概念であり、新型コロナウイルス感染症以外では結核や麻疹(ましん)がある。一方で、食中毒などの感染症には適用されない。また、詳細な定義は感染症の種類により異なる。
[和田耕治 2021年10月20日]
新型コロナウイルス感染症における濃厚接触者は、患者の感染可能期間内(発症日の2日前から、診断後に隔離などをされるまでの期間)に患者に接触した者のうち、国立感染症研究所が公表している「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」において、次の範囲に該当する者とされている。
(1)患者と同居、あるいは長時間の接触(車内・航空機内等を含む)があった者。
(2)適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護していた者。
(3)患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者。
(4)その他、手で触れることのできる距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策(マスク等)なしで患者と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から、患者の感染性を総合的に判断する)。
これらに当てはまる濃厚接触者は、新型コロナウイルス感染症に感染している可能性が高いと考えられる(ただし、濃厚接触者であるか否かは、最終的には保健所が総合的に判断し、判定することになっている)。そのため、保健所は濃厚接触者に対する措置として、患者との接触があった日から14日間、隔離を行うことがある。
なお、保健所ではなく、企業や施設などが自主的に濃厚接触者となる人を特定することがあるが、それらは法的な指定ではない。
[和田耕治 2021年10月20日]
(2020-11-12)
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