灯籠人形(読み)トウロウニンギョウ

デジタル大辞泉 「灯籠人形」の意味・読み・例文・類語

とうろう‐にんぎょう〔‐ニンギヤウ〕【灯籠人形】

紙人形体内灯火をともしたり、舞台灯籠などで飾ったりして操る人形芝居

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改訂新版 世界大百科事典 「灯籠人形」の意味・わかりやすい解説

灯籠人形 (とうろうにんぎょう)

民俗芸能で操り人形の一種。操り灯籠ともいう。京都府亀岡市薭田野(ひえたの)町佐伯薭田野神社ほかの佐伯灯籠人形(8月14日夜),福岡県八女市福島八幡放生会の福島灯籠人形(9月22~24日),群馬県安中市中宿諏訪神社の中宿灯籠人形(不定期)などがあり,様式はそれぞれ別個である。佐伯灯籠人形は小型の舁き屋台で飾り人形(田遊(たあそび)を内容とする)の神灯籠5基と,操り芝居を演じる台灯籠1基からなり,ろうそく数本を台上に立てて照明とする。人形は約24cmで,1人が背にさした心串の棒を左手に持ち,右手に人形の両手のさし棒を持って動かす一人遣い。地は義太夫節。福島灯籠人形は大掛りなからくり人形芝居で,間口15mに及ぶ2階建ての舞台をちょうちんで飾る。1772年(安永1)ころ竹田からくりを摂取してできたという。人形は60cmほどで,《玉藻前曦袂(あさひのたもと)》《義経千本桜吉野山道行》など8曲ある。中宿灯籠人形は﨟纈(ろうけち)染の紙製の人形で,60~90cmの体内に小さな龕灯(がんどう)を仕込むので,人形が明るく浮いて見える。操法は一種の糸操りで,《馬乗り小僧の曲芸》《清姫綱渡り》ほか数曲ある。1656年(明暦2)ころから始まると伝える。福島灯籠人形,中宿灯籠人形は国指定重要無形民俗文化財
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「灯籠人形」の意味・わかりやすい解説

灯籠人形
とうろうにんぎょう

人形芝居の一種。『看聞御記(かんもんぎょき)』や『満済准后日記(まんさいじゅごうにっき)』永享(えいきょう)4年(1432)の条に「アヤツリ燈炉(とうろ)」などとあるのが初見であるが、その実体は不明。現存は次の3種で、三つとも他に類例がない。

(1)佐伯(さえき)灯籠人形(京都府亀岡(かめおか)市薭田野(ひえだの)) 一間四方ほどの紙製御殿形舞台をろうそくで照らし、義太夫(ぎだゆう)節によって二十数センチメートルほどの小人形を心串(しんぐし)と、手は棒で操る(8月14日)。

(2)八女福島(やめふくしま)灯籠人形(福岡県八女市福島本町) 間口七間もある二階建ての舞台を灯籠で飾り、三味線鳴物入りで『玉藻前(たまものまえ)』『吉野山』などのからくり人形戯を演ずる(9月21~23日)。人形の大きさは約80センチメートル。1760年(宝暦10)の千灯籠奉納から、人形の初発は68年(明和5)ごろ。国指定の重要無形民俗文化財。

(3)安中中宿(あんなかなかじゅく)灯籠人形(群馬県安中市中宿) 60~70センチメートルほどの紙製の人形の体内に小型の龕灯(がんどう)を入れて人形を浮き立たせる。一名「龕灯人形」ともいい、背景もその後ろに明かりを置いて浮き出させる。特殊な糸操りで人形を遣う。笛、太鼓の囃子(はやし)で『俵小僧』『馬乗り小僧の籠抜け』『清姫綱渡り』などを演ずる(不定期)。初発は1656年(明暦2)ごろ。国指定の重要無形民俗文化財。

[西角井正大]

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