災害弔慰金支給法(読み)さいがいちょういきんしきゅうほう

日本大百科全書(ニッポニカ)「災害弔慰金支給法」の解説

災害弔慰金支給法
さいがいちょういきんしきゅうほう

災害により死亡した者の遺族に払う災害弔慰金などについて定めた法律。正式名称は「災害弔慰金の支給等に関する法律」(昭和48年法律第82号)。1967年(昭和42)夏の羽越(うえつ)豪雨災害(死者104人)をきっかけに、議員立法で1973年に成立した。同法に基づき、市町村が条例を定め、市町村が認定や支給などの行政事務を行う。対象となるのは暴風、豪雨、豪雪洪水高潮、地震、津波その他の異常な自然現象による災害。東日本大震災に伴う原子力発電所事故のほか、長引く避難生活での過労、持病悪化、ストレスなどが原因で死亡(自殺)した災害関連死についても災害との因果関連が認定されれば、対象となる。

 災害弔慰金の支給額は第3条3項で「死亡者1人当たり500万円を超えない範囲」と定めているが、統一的な支給基準はなく、市町村の支給審査委員会(医師や弁護士で構成)が判断する。生計を支えていた人が亡くなった場合は500万円、それ以外は250万円を支給している自治体が多い。財源は国が2分の1を負担し、残りを都道府県と市町村が折半負担する。行方不明者は3か月生死がわからなければ、死亡と推定される。災害弔慰金は非課税で、当該支給を受ける権利を譲渡すること、担保とすること、差し押さえることができない。

 災害弔慰金のほか、災害で障害者となった人に払う災害障害見舞金(生計維持者に250万円、その他の者に125万円)、災害で世帯主が加療1か月以上の負傷をした場合や住居・家財に大きな被害を受けた場合に貸し付ける災害援護資金についても定めている。災害援護資金の返済が免除される要件としては、貸付を受けた者が死亡した場合や心身に著しい障害を受けた場合があった。2019年(令和1)5月の同法改正により自己破産者がその対象に加えられた。さらに、阪神・淡路大震災での貸付については返済が長期化している低所得者も対象となった。なお同法に対して、(1)災害関連死の統一的基準が設けられておらず、自治体任せである、(2)災害障害見舞金の対象が労働者災害補償保険の障害等級1級程度と重度障害に限定されており厳しすぎる、などの批判や不満が自治体関係者などからでている。

[矢野 武 2017年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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