ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「為替心理説」の意味・わかりやすい解説
為替心理説
かわせしんりせつ
théorie psychologique du change
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外国為替学説の一つ。第一次世界大戦後フランスのアフタリヨンによって唱えられた学説で、当時外国為替相場は資本逃避や投機などの短期資本移動によって不安定な動きを示していたが、そのような現象を説明しようとしたもの。それまでの為替学説の主流は、為替相場の変動要因を貿易収支などの量的要因によって説明しようとする国際貸借説(国際収支説)や、各国の物価水準(貨幣の購買力)の動向という質的要因を重視する購買力平価説であった。アフタリヨンは、これらの学説は量・質のいずれかの要因に偏っていると批判し、総合理論の樹立を目ざして、限界効用理論を外国為替の需給決定に援用した。すなわち、為替相場を左右する外国為替の需給は、為替関係者の外国為替に認める効用、つまり心理的な評価に依存するとし、この評価の変化によって為替相場は変動するとした。この学説は、短期的な為替相場の理論としては評価されるが、長期的には物価や国際収支の動向などの客観的要因が心理に影響することが指摘されている。
[土屋六郎]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…この資産市場アプローチの立場にたてば,時々刻々入る新しい情報が予想を通して外貨ストック需要を大きく変化させ,為替相場をランダムにかつ大幅に変化させることや,また当然,経常収支は均衡しないことなどの変動相場制の経験則がうまく説明できるのである。フランスの経済学者アフタリヨンAlbert Aftalion(1874‐1934)の為替心理説は,為替相場の変動要因として取引当事者の心理状態,とくに予想を重視しているが,この考えは上記の資産市場アプローチに包摂されているとみることができる。
[購買力平価説]
以上の二つが自己完結的な為替相場理論である。…
※「為替心理説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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