無念(読み)ムネン

デジタル大辞泉 「無念」の意味・読み・例文・類語

む‐ねん【無念】

[名・形動]
仏語妄念のないこと。迷いの心を離れて無我境地に入り、何事も思わないこと。正念。⇔有念うねん
くやしいこと。また、そのさま。「無念結果に終わる」「残念無念
[派生]むねんがる[動ラ五]むねんさ[名]
[類語]悔しい残念口惜くちおしいうらめしい腹立たしい心外しんがいしゃく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「無念」の意味・読み・例文・類語

む‐ねん【無念】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。
    1. (イ) 想念をはなれた無我の境地にはいって何事も思わないこと。正念。無想。⇔有念(うねん)
      1. [初出の実例]「無念の修行はこれ有義也。常住の理に叶」(出典:梵舜本沙石集(1283)三)
      2. [その他の文献]〔白居易‐対小潭寄遠上人詩〕
    2. (ロ) とらわれを去った思い。執着のない正しい思い。
      1. [初出の実例]「無念はこれ正念といふは外道なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)三十七品菩提分法)
    3. (ハ) 心の動揺をしずめて行なう念仏のこと。
      1. [初出の実例]「浄土宗にまた有念あり、無念あり。有念は散善の義、無念は定善の義なり」(出典:末燈鈔(1333)一)
  3. ( 形動 ) くやしいこと。口惜しいこと。また、そのさま。残念。
    1. [初出の実例]「不躰凡只無念也。又無其憚一々遺恨也」(出典江談抄(1111頃)五)

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