日本大百科全書(ニッポニカ) 「無診査保険」の意味・わかりやすい解説
無診査保険
むしんさほけん
nonmedical insurance
生命保険契約に際し、医的診査を省略する保険。無診査保険は、保険市場の拡大に伴う診査医の不足、少額契約における診査経費の割高などを主因としてアメリカやイギリスなどで発展を遂げた。わが国では、国による簡易生命保険が小口保険の無診査保険として1916年(大正5)以来独占的に行われてきたが、第二次世界大戦後の1946年(昭和21)の簡易生命保険法改正により、小口保険の簡易生命保険独占が廃止されたため、簡易生命保険の保険金最高限度額以下の契約を民間生命保険会社も無診査保険として売り出した。無診査保険の最高限度額はその後たびたび引き上げられ、1977年には1000万円となった。無診査保険は事務能率の促進には有効であるが、逆選択の危険が多い。そのため申込みにあたっては身体状況に関する詳しい告知を必要とする。
[金子卓治]