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焼却炉 ショウキャクロ

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デジタル大辞泉の解説

しょうきゃく‐ろ〔セウキヤク‐〕【焼却炉】

家庭ごみや工業廃棄物などを焼却処理する装置。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

焼却炉
しょうきゃくろ

ごみや工場の固体廃棄物、排ガス排水処理施設からのスラッジや汚泥ケーキなどを焼却処理するための装置の総称。
 日本は平野部が少なく、しかも平野のほとんどを農業や住居に使わなければならないため、可燃廃棄物や廃油は焼却処理し、処理後の灰を有害物が溶出しないようにして安定型埋立てをする方法をとってきた。欧米主要国は平野部が多く埋立て処理が中心であったため、汚染土壌の修復を要する箇所が多数発生して問題を抱えた。一方、可燃廃棄物の焼却中心の処理体系ができあがっている日本では、ダイオキシンによる汚染問題に直面している。
 ごみの焼却はごみを衛生的に処理し、その重量、容積を減少させ、焼却後の灰を化学的に安定化させるために行う。焼却炉の発展は、まず小型のごみ焼却炉から始まり、回分式(バッチ式)でほぼ自然通風に近い形で焼却していた。その後、燃焼効率を高めるため可動火格子、強制通風装置を備えた中型回分式機械炉が用いられ、さらに大量焼却および燃焼管理上の要求から大型の連続式機械炉が開発された。連続式の大型炉は高度の運転管理技術が必要だが、一定した燃焼条件の維持が可能で、ダイオキシン対策も回分式より容易である。
 焼却方法の違いにより、次のような焼却炉がある。[早川豊彦]

火格子焼却炉

ストーカー炉ともいう。火格子上に処理物を供給し、その層内に空気を送り込みつつ燃焼させる型式で、処理物と空気の供給方向の組合せで上込め式、下込め式、十字込め式に分かれる。家庭ごみの焼却は基本的にストーカー炉が用いられている。[早川豊彦]

火格子のない焼却炉

火格子のない焼却炉として下記のものがあり、おもに産業廃棄物の焼却に用いられている。[早川豊彦]
床焼却炉
床焼却炉は加熱によって融(と)けやすいものや不燃物を多く含み、火格子焼却炉に適さないものを、耐火物を敷き詰めた炉床上に供給して固定層をつくり、その表面付近に空気を送り込んで燃焼を行う型式のもので、プラスチック廃棄物の処理によく用いられる多室燃焼炉や、汚泥ケーキの処理に用いられる縦型多段炉などに分かれる。[早川豊彦]
回転焼却炉
回転焼却炉はロータリーキルンともいい、従来からセメント、マグネシア、石灰などの焼成に用いられていたのと同型式のもので、スラッジやプラスチック廃棄物の焼却などに用いられる。[早川豊彦]
流動層焼却炉
流動層焼却炉は底部に多孔板、ノズル板あるいは多孔質板などでできた気流分散板を有する円筒形の炉である。分散板下方から上向きに高温ガスを送入して、分散板上の流動粉体(砂など)を浮遊懸濁させ(流動化といい、この状態を保った層を流動層という)、その中へ焼却するものを供給して燃焼させる型式のものである。燃焼後の灰は、流動粉体の一部とともに排ガスによって炉外へ流出し、サイクロンなどの集塵装置によって捕集され、流動粉体のみふたたび流動層内に戻される。[早川豊彦]

環境基準達成に向け規制を強化

近年のごみは焼却の困難なものが少なくない。とくに塩化ビニル樹脂などの有機塩素系化合物は燃焼すると分解して有毒の塩素や塩化水素ガスを発生して炉を腐食するのみならず、強い毒性をもち、人体に蓄積するダイオキシンの発生が問題となってきた。これに対し、新設の大型連続炉には現在の最高最善の技術によって達成される厳しい規制値を課し、既設の中小の回分式焼却炉には現行よりやや厳しい規制値を課すなど、焼却炉の規模に応じて規制を段階的に強化し、2002年までに安全とされる環境基準を達成することになった。さらに新設の炉には燃焼温度の連続測定・記録装置の設置、完全燃焼(外気を遮断し、800℃以上で2秒以上の燃焼)と燃焼後のガスの200℃以下への冷却、高度の煤塵(ばいじん)除去装置の設置などにより、炉出口側のガス中におけるダイオキシンの生成と飛灰によるその拡散を防ぐこととなった。また年1回以上のダイオキシン濃度の測定・記録も義務づけられた。
 1999年現在、日本には世界中の焼却炉の7割が存在し一万数千基があるが、その大部分は中小の回分式焼却炉といわれている。これらはいずれ新設の大型連続式焼却炉へ集中され広域共同処理(同じ有機塩素系化合物を一般廃棄物と産業廃棄物に区分して処理しても意味がないため)となり、自治体は分別収集を徹底したうえで地域における他の自治体や企業群と協力して共同処理せざるをえないものと思われる。また、ダイオキシン対策として、1997年9月、文部省(現文部科学省)は全国の小中高校のごみ焼却炉を原則的に全廃することを決めた。なお、燃焼処理能力が1時間50キログラム以上の焼却炉がダイオキシン類対策特別措置法の適用対象となる。[早川豊彦]

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