布袋(読み)ホテイ(英語表記)Bù dài

デジタル大辞泉 「布袋」の意味・読み・例文・類語

ほてい【布袋】

[?~916]中国、唐末の禅僧。名は契此かいし。半裸で太鼓腹を出し、日用品を入れた袋とつえを持ち、市中を歩いて吉凶や天気を占ったという。弥勒みろくの化身ともいわれ、日本では七福神の一人とされ、また、詩画の題材とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「布袋」の意味・読み・例文・類語

ほてい【布袋】

  1. [ 1 ] 中国、唐末の禅僧。名は契此。腹の肥えた身体に、杖を持ち、日用品をすべて入れた袋をになって町の中を歩き、吉凶や天候を占ったという。日本では七福神の一つとして親しまれる。後梁の貞明二年(九一六)に没したと伝えられる。布袋和尚
    1. [初出の実例]「ほてにてぞ侍べる覧。布袋の心歟」(出典:名語記(1275)五)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 妊娠した女。
    1. [初出の実例]「あきました・まったかかめが布袋どの」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))

ぬの‐ぶくろ【布袋】

  1. 〘 名詞 〙 布で作った袋。
    1. [初出の実例]「布袋(ヌノブクロ)のきたなげなるに」(出典発心集(1216頃か)一)

ふ‐たい【布袋】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 布製の袋。ぬのぶくろ。〔隋書食貨志
  2. [ 2 ]ほてい(布袋)

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改訂新版 世界大百科事典 「布袋」の意味・わかりやすい解説

布袋 (ほてい)
Bù dài
生没年:?-917

中国,唐末五代の僧。名は契此,別に定応大師,長汀子ともよぶ。容貌奇異,額と腹が大きく,いわゆる布袋腹である。明州奉化県の岳林寺に名籍をもつだけで,嗣法を明かさず,居所を定めず,日常生活の道具を入れた布袋をかつぎ,杖を負うて各地に乞食し,人々が与えるものは何でも布袋に放り込んだことから,布袋の名を得た。神異の行跡が多く,分身の奇あり,一鉢千家の飯,孤身幾度の秋云々,その他,謎のような偈頌(げじゆ)が知られて,生前すでに弥勒の化身とみられた。滅後はさらに俗信が加わって,その像を画いて福を祈る風が生まれ,水墨画のテーマとなる。近代は弥勒信仰の拡大とともに,いずれの寺でも,宗派を問わず,その木像を祭るようになり,観世音菩薩とあわせて,民衆にもっとも魅力のある尊像となる。日本でも,早くより七福神の一人として,招福の神とみられるが,黄檗宗の伝来によって,その信仰がいよいよ強まり,今日に至る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「布袋」の意味・わかりやすい解説

布袋
ほてい

七福神の一つ。中国の明州奉化県(現、浙江(せっこう)省)出身の禅僧。腹が大きく膨れた肥大な体躯(たいく)であった。いつも大きな袋を持ち、杖(つえ)をついて市中に喜捨(きしゃ)を求め、食物その他もらい物などいっさいを袋の中に入れて歩いたという。日本には室町時代からこの奇僧のことが知られるようになり、その福徳円満な風貌(ふうぼう)と、よく子供に取り囲まれていることが多くの人の話題となり、絵画や詩文に描かれるようになった。『守貞漫稿(もりさだまんこう)』(1853序)には、布袋の土製人形を台所のかまどの上の棚に置いておく家がかなり多くみられると記してある。布袋がどうして七福神の一つとして加えられたかは明らかでない。中国の後梁(こうりょう)の貞明2年(916)に没したと伝えられ、弥勒菩薩(みろくぼさつ)の垂迹(すいじゃく)(化身)ともいわれている。

[大藤時彦 2017年4月18日]


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百科事典マイペディア 「布袋」の意味・わかりやすい解説

布袋【ほてい】

中国唐末〜後梁(りょう)の禅僧。明州奉化県の人。名は契此(かいし)。号は長汀子(ちょうていし)。布袋腹といわれる肥えた腹を露出し,杖(つえ)と大きな布の袋を持って喜捨を求めて歩き,雪中に寝た。弥勒(みろく)の化身といわれ,十八羅漢や七福神の一つに伝説化され,詩題や,踊布袋,眠布袋などの画題にもなった。
→関連項目因陀羅

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「布袋」の解説

布袋 ほてい

中国唐末五代の禅僧。
名は契此(かいし)。吉凶の占いに長じる。おおきな腹をだし,日常品すべてをいれた布袋をかついで喜捨をもとめて放浪した。後梁(こうりょう)の貞明3年(917)に死去したという。日本では室町時代から知られるようになり,その円満な姿が画題としてこのまれ,七福神のひとりにくわえられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「布袋」の意味・わかりやすい解説

布袋
ほてい
Bu-dai

[生]?
[没]貞明2(916)
中国,唐末頃の僧。明州奉化県の出身。みずから契此 (かいし) と称した。常に杖と布袋とを持歩き,人の吉凶,晴雨を予知し,弥勒菩薩の化身として尊崇された。日本では七福神の1つとされる。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「布袋」の解説

布袋
(通称)
ほてい

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
色映紅葉章
初演
安永9.11(江戸・中村座)

布袋
〔浄瑠璃〕
ほてい

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
宝暦12.3(江戸・市村座)

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普及版 字通 「布袋」の読み・字形・画数・意味

【布袋】ふたい

布の袋。

字通「布」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の布袋の言及

【七福神】より

…福徳をもたらす神として信仰される7神。えびす(夷,恵比須),大黒天毘沙門天(びしやもんてん),布袋(ほてい),福禄寿,寿老人,弁才天の7神をいうが,近世には福禄寿と寿老人が同一神とされ,吉祥天もしくは猩々(しようじよう)が加えられていたこともある。福徳授与の信仰は,狂言の《夷大黒》《夷毘沙門》などにもみられ,室町時代にはすでに都市や商業の発展にともなって広まっていたものと思われる。…

【弥勒信仰】より

…しかし,彼らの組織や布教活動を示す具体的な史料はほとんど残っていない。 五代の時代には,狂僧布袋和尚が弥勒の化身とされ,民間ではしきりにその図像が描かれ,今日に至るまで,布袋の姿が弥勒仏の像となっている。北宋では,仁宗の時代(1023‐63)に貝州で起きた王則の反乱がある。…

※「布袋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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