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父称 ふしょうpatronymic

翻訳|patronymic

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

父称
ふしょう
patronymic

父親の名前からつくられる呼び名。たとえば,『イリアス』でアガメムノンメネラオスが,ともに父親の名アトレウスから,アトレイデス (アトレウスの子) と呼ばれているのが一例。古代ギリシアではあだ名のようなものであったが,のちには父称が姓になった。ゲルマン民族に特に多く,ジョン Johnの息子という意味をもつジョンソン Johnsonが一例。ロシア人は,父親の名から自動的に父称がつくられ,たとえばイワンの息子ならイワーノビッチ,娘ならイワーノブナとなる。モンゴル人は姓を用いず,名前の前に父称をおく。

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デジタル大辞泉の解説

ふ‐しょう【父称】

父を称する言葉。「お父さん」「とうちゃん」「おやじ」「父上」など。
人名の一部に父親や父系の先祖の名が付けられているもの。多く、欧米や中東で見られる。パトロニム。
[補説]スコットランド系の「Mac―」(例:MacDonald/ドナルドの子)、アイルランド系の「O'―」(例:O'connell/コンネルの子)、アラブ系の「bin ―」(例:bin Lādin/ラディンの子)、ロシア系のミドルネーム(例:Nikita Sergeevich Khrushchyov/セルゲイ=フルシチョフの子ニキータ)、英米系の「―son」(Johnson/ジョンの子)などがあるが、姓として固定化するなどで、実際の父の名とは無関係の場合もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

父称
ふしょう

父を称することば。家族員の身分関係あるいは地位を示す用語に家族呼称がある。これは親族関係を指示する「親族名称」(例、チチ)と、親族に対する呼びかけの「親族呼称」(例、トウチャン)とに区別されている。家族呼称はその意味ではあいまいさがあるが、そのなかで父親と家長をさす用語としての父称には古語チチがあり、トト、テテ、チャンなども同じ系統の語であり、エテ、ゴデなどもそれらの変化のようである。チャンは児童語であるが、北は奥州の岩手、秋田県地方から、南は九州の五島(ごとう)まで父のことをチャンといっている。トト、オヤジなども、父と同時に家長を意味している場合が多い。家長は家の首長として家族員を統率し、外に向かっては家を代表するものとして民法旧規定(親族・相続編)においては家長権がもっとも強大なものであった。しかし第二次世界大戦後の改定では、家族の性格が一変して、戸主も戸主権も法律の文面からは消えうせた。しかし家長権は現実の家庭生活のうちに生きている。また古語では父を「かぞ」ともよんでいる。[高野 修]

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