いのこずち ゐのこづち【牛膝】
〘名〙 (「いのくずち」の変化した語)
ヒユ科の
多年草。各地の
山野、道ばたにふつうに見られる。高さ九〇センチメートルに達する。茎は
四角柱で節の部分が太い。葉は長さ五~一五センチメートルの
楕円形で先がとがる。夏から秋に、
茎頂および
葉腋(ようえき)に細長い穂を出し、
淡緑色の小さい花をつける。実を包む苞
(ほう)と
外側のがく片は先がとがった針状で、このため実は
衣類等につきやすい。乾燥した根は牛膝
(ごしつ)と呼ばれ、
利尿・強精剤とし、また、挿入して堕胎用に使った。
ふしだか。
こまのひざ。えのこずち。つなぎぐさ。いなきぐさ。《季・秋》
※円融院御集(11C初)「万代といはふみやまのゐのこずち君につかふるけふにぞあるらし」
いのくずち ゐのくづち【牛膝】
〘名〙 植物「いのこずち(牛膝)」の
古形。〔
新撰字鏡(898‐901頃)〕
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デジタル大辞泉
「牛膝」の意味・読み・例文・類語
いのこずち〔ゐのこづち〕【牛=膝】
ヒユ科の多年草。草地などに生え、高さ約90センチ。対生する枝を出し、節が太い。葉は楕円形。夏から秋、緑色の小花を穂状につける。実にはとげがあり、衣服や動物の体について散らばる。乾燥した根を漢方で牛膝といい、利尿剤にする。ふしだか。こまのひざ。《季 秋》
[補説]植物分類上は、葉が薄く半日陰に生えるヒカゲイノコズチと、葉が厚く日なたに生えるヒナタイノコズチに区別され、単にイノコズチという場合はふつうヒカゲイノコズチをさす。漢方の牛漆は多くヒナタイノコズチが用いられる。
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ごしつ【牛膝】
漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ヒユ科ヒナタイノコズチの根を乾燥したもの。サポニンや粘液質などを含み、血行促進、強壮、利尿などの作用がある。排尿困難、頻尿(ひんにょう)に効く牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、腰痛、神経痛、筋肉痛に効く疎経活血湯(そけいかっけつとう)、関節リウマチ、慢性関節炎に効く大防風湯(だいぼうふうとう)などに含まれる。
出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報
牛膝 (イノコズチ)
学名:Achyranthes bidentata var.japonica
植物。ヒユ科の多年草,薬用植物
牛膝 (イノコズチ)
植物。イノモトソウ科の常緑多年草,薬用植物。イノモトソウの別称
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の牛膝の言及
【イノコズチ】より
…日本,中国にみられ,近縁種は東アジアに広く分布する。肥大した根を干したものが漢方の牛膝(ごしつ)で,サポニン状の物質を含み,利尿,強精,通経の効があるとされる。若芽や種子は食用に供される。…
※「牛膝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」