牛膝(読み)イノコズチ

デジタル大辞泉 「牛膝」の意味・読み・例文・類語

いのこずち〔ゐのこづち〕【牛膝】

ヒユ科多年草。草地などに生え、高さ約90センチ。対生する枝を出し、節が太い。葉は楕円形。夏から秋、緑色の小花を穂状につける。実にはとげがあり、衣服や動物の体について散らばる。乾燥した根を漢方牛膝ごしつといい、利尿剤にする。ふしだか。こまのひざ。 秋》
[補説]植物分類上は、葉が薄く半日陰に生えるヒカゲイノコズチと、葉が厚く日なたに生えるヒナタイノコズチに区別され、単にイノコズチという場合はふつうヒカゲイノコズチをさす。漢方の牛漆は多くヒナタイノコズチが用いられる。

えのこ‐ずち〔ゑのこづち〕【牛膝】

イノコズチ別名

ご‐しつ【膝】

イノコズチ漢名

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精選版 日本国語大辞典 「牛膝」の意味・読み・例文・類語

いのこずちゐのこづち【牛膝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いのくずち」の変化した語 ) ヒユ科の多年草。各地の山野、道ばたにふつうに見られる。高さ九〇センチメートルに達する。茎は四角柱で節の部分が太い。葉は長さ五~一五センチメートルの楕円形で先がとがる。夏から秋に、茎頂および葉腋(ようえき)に細長い穂を出し、淡緑色の小さい花をつける。実を包む苞(ほう)外側のがく片は先がとがった針状で、このため実は衣類等につきやすい。乾燥した根は牛膝(ごしつ)と呼ばれ、利尿・強精剤とし、また、挿入して堕胎用に使った。ふしだか。こまのひざ。えのこずち。つなぎぐさ。いなきぐさ。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「万代といはふみやまのゐのこずち君につかふるけふにぞあるらし」(出典:円融院御集(11C初))

えのこ‐ずちゑのこづち【牛膝】

  1. 〘 名詞 〙 植物「いのこずち(牛膝)」の異名。
    1. [初出の実例]「山椒薬を四百袋、ゑのこづちの根を千本」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)八)

ご‐しつ【牛膝】

  1. 〘 名詞 〙 植物「いのこずち(牛膝)」の漢名。また、その根を乾燥させたもの。漢方で、利尿・通経・強精薬に用いる。〔全九集(1566頃)〕

いのくずちゐのくづち【牛膝】

  1. 〘 名詞 〙 植物「いのこずち(牛膝)」の古形。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「牛膝」の解説

ごしつ【牛膝】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ヒユ科ヒナタイノコズチの根を乾燥したもの。サポニン粘液質などを含み、血行促進、強壮利尿などの作用がある。排尿困難頻尿(ひんにょう)に効く牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)腰痛神経痛筋肉痛に効く疎経活血湯(そけいかっけつとう)関節リウマチ慢性関節炎に効く大防風湯(だいぼうふうとう)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「牛膝」の解説

牛膝 (イノコズチ)

学名:Achyranthes bidentata var.japonica
植物。ヒユ科の多年草,薬用植物

牛膝 (イノコズチ)

植物。イノモトソウ科の常緑多年草,薬用植物。イノモトソウの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「牛膝」の意味・わかりやすい解説

牛膝
ごしつ

イノコズチ

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世界大百科事典(旧版)内の牛膝の言及

【イノコズチ】より

…日本,中国にみられ,近縁種は東アジアに広く分布する。肥大した根を干したものが漢方の牛膝(ごしつ)で,サポニン状の物質を含み,利尿,強精,通経の効があるとされる。若芽や種子は食用に供される。…

※「牛膝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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