近世における、田畑の本租の呼称。年貢(ねんぐ)、取箇(とりか)、成箇(なりか)、本途(ほんと)(物成)などともよばれた。
[編集部]
田畑・屋敷地に課された本年貢。用語自体は鎌倉時代から租税の意味で存在したが,江戸時代に入って一般化した。年貢・成箇(なりか)・取箇ともいい,また雑税である小物成と区別し,本年貢としての意味から本途物成・本途・本途取米・本免などともよばれ,村高に年貢率(免)を乗じて決められた。米納が原則だったが,貨幣による代納も時代が下るにつれ多くなった。
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…その徴収時期には初・中・末があって,初は7月15日から期限の明示なし,中は8月15日から9月1日まで,末は10月15日から11月晦日までとされている。近世になると,《地方(じかた)凡例録》(1794)によれば,関東で畑の年貢=物成(ものなり)を〈夏成〉と称したのに対し,田の年貢を〈秋成〉といったとされる。秋の物成であるから〈あきなり〉といわれた。…
…江戸時代の年貢で,田・畑・宅地など検地によって高に結ばれた土地に賦課された本年貢で,たんに本途または物成とも略す。同じく農民に賦課されたものであっても,山野・河川の用益に課せられた小物成(こものなり),冥加(みようが)・運上金などの浮役(うきやく),普請・助郷(すけごう)などに夫役(ぶやく)を提供する諸役と区別される。…
※「物成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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