本途物成(読み)ホントモノナリ

デジタル大辞泉 「本途物成」の意味・読み・例文・類語

ほんと‐ものなり【本途物成】

江戸時代田畑に課せられた本年貢。→小物成

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精選版 日本国語大辞典 「本途物成」の意味・読み・例文・類語

ほんと‐ものなり【本途物成】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、田畑や林野に課される本年貢。単に物成ともいう。山手川手野銭などを小物成というのに対する語。成箇(なりか)取箇本途取米。本途。本免。〔地方凡例録(1794)〕

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百科事典マイペディア 「本途物成」の意味・わかりやすい解説

本途物成【ほんとものなり】

本年貢,取箇(とりか),物成とも。江戸時代田畑に課せられた基本的租税小物成冥加(みょうが)などの浮役夫役と区別される。米納原則だが畑地に対する物成は金納の場合が多かった。→年貢高掛物運上・冥加
→関連項目口米地方三帳

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改訂新版 世界大百科事典 「本途物成」の意味・わかりやすい解説

本途物成 (ほんとものなり)

江戸時代の年貢で,田・畑・宅地など検地によって高に結ばれた土地に賦課された本年貢で,たんに本途または物成とも略す。同じく農民に賦課されたものであっても,山野・河川の用益に課せられた小物成(こものなり),冥加(みようが)・運上金などの浮役(うきやく),普請助郷(すけごう)などに夫役(ぶやく)を提供する諸役と区別される。通例,田方の物成は米の現物納であり,畑方の物成は石高(こくだか)で算定されても金銀代納されることが多い。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「本途物成」の解説

本途物成
ほんとものなり

本途・物成・本途取米・本免・取箇(とりか)・本年貢とも。田畑・屋敷地に対して課税された本年貢。本租として江戸時代の貢租制度の中で最も基本的であるとともに,領主にとって最大の収入源であった。これに対し田畑以外の山林や河海における生産物に対する雑税を小物成とよんだ。本途物成は米納を原則としたが,畑方年貢では金銀で代納する貨幣納が進み,江戸中期以降は田方年貢も石代納化が進展する。商品作物の生産や商業の展開によって課税対象が拡大されるにつれ,本途物成への依存度は相対的に減少していった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本途物成」の意味・わかりやすい解説

本途物成
ほんとものなり

江戸時代、田畑に課した本年貢のこと。単に本途、物成ともいい、取箇(とりか)、本免、本途取米(とりまい)ともいう。諸雑税である小(こ)物成(小年貢)に対する。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本途物成」の意味・わかりやすい解説

本途物成
ほんとものなり

江戸時代,小物成 (雑税) に対し,田畑の本来の物成すなわち年貢をいい,石高に応じて主として米で納めた。ときに大豆その他雑穀で納めることもあり,また代金納 (→銭納 ) された地方もある。物成とも呼ばれた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「本途物成」の解説

本途物成
ほんとものなり

江戸時代,田畑に課せられた年貢
本年貢ともいう。最も基本的な租税で,米納が原則。その額は村高に免(貢租率)を乗じ村単位で納入した。賦課方法には検見 (けみ) 法と定免 (じようめん) 法とがあり,四公六民ないし五公五民が標準であった。

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世界大百科事典(旧版)内の本途物成の言及

【小物成】より

…広義には,江戸時代における雑税の総称。検地によって高に結ばれた田畑から生ずる生産物を対象に賦課した租税を本途(ほんと)物成(本年貢)と呼ぶのにたいし,これ以外のすべての雑税を小物成と称した。その由来は荘園制下の公事(くじ)にあるといわれている。…

【年貢】より

…したがって,年貢だけをとりあげて荘園における農民の負担をみてはならない。【泉谷 康夫】
【近世】
 通例は田,畑,宅地など検地によって高請(たかうけ)された土地に賦課される農民の負担分(本年貢,本途物成(ほんとものなり))を指すが,広義には本年貢の付加税(口米(くちまい),欠米(かんまい)など),山林,原野,河海の用益に課された小物成(こものなり)(山手米(やまてまい),野手米(のてまい),川船年貢,塩浜年貢など),臨時の雑税である浮役(うきやく)(酒屋運上(さかやうんじよう),質屋冥加永(みようがえい)など)など,広く農民の生業に対して賦課されたものを含む。ただし河川普請(ふしん)役,助郷(すけごう)役などの夫役(ぶやく)負担は,諸役と称して年貢と区別するのが一般である。…

※「本途物成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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