家庭医学館 「特発性大腿骨頭壊死」の解説
とくはつせいだいたいこっとうえし【特発性大腿骨頭壊死】
大腿骨の骨頭部分が壊死におちいる病気を、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)といいます。
このうち、壊死になった原因がはっきりわからないものが、特発性大腿骨頭壊死です。
同じ大腿骨頭壊死でも、ある程度の原因がわかっているもの、たとえばアルコール飲料の多飲が原因と考えられるものはアルコール性大腿骨頭壊死、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド薬)の使用が原因と考えられるものはステロイド性大腿骨頭壊死などと呼びます。
[症状]
多くは、急性におこる股関節(こかんせつ)の痛みで始まります。なかには、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)のような痛み(おしりから大腿部にかけての痛み)がおこることもあります。
初期には、安静にしていれば痛みはひくのですが、しだいに痛みが持続するようになります。
関節の動きの制限も、はじめはたいしたことはありませんが、病気が進むにつれて、歩行困難などの運動制限がおこってきます。
[治療]
安静や薬物による保存的治療では効果が少ないため、早期に外科的手術を行なうほうがよいとされています。
比較的若い人におこることが多い病気なので、関節の機能を失わないように、大腿骨頭前方回転骨切り術や骨移植術など、さまざまな骨頭温存手術が行なわれます。
骨頭の破壊が進んでいる場合は、人工骨頭置換術などの人工関節置換術(関節手術のいろいろの「関節手術の分類」)なども選択されます。