整形外科の治療方法の一種。局所に牽引力を作用させる方法であり、広く用いられる。牽引法には脊椎(せきつい)に対するものと、四肢に対するものがあり、また方法としては、直接骨に装置を取り付けて牽引力を働かせる直達牽引法と、皮膚を介して牽引力を作用させる介達牽引法とがある。
脊椎に対する直達牽引法としては、頭蓋(とうがい)骨に特別のピンを挿入して装置を取り付けて行う頭蓋牽引があり、クラッチフィールド牽引が代表的なもので、頸椎(けいつい)の骨折や脱臼(だっきゅう)の整復などに用いられる。また、ハロー骨盤牽引は、頭蓋にハローリングを取り付け、骨盤には骨盤輪を取り付けて両者を支柱で連結し、脊椎に牽引力を働かせる方法で、脊柱側彎(そくわん)症の矯正などに用いられる。日常広く行われている脊椎に対する介達牽引法としては、グリソン係蹄(けいてい)を用いて頸椎を牽引するグリソン牽引があり、頸腕症候群、変形性頸椎症などに行われる。坐(ざ)位と仰臥(ぎょうが)位で行う方法がある。また骨盤牽引は骨盤帯を用いて腰椎を牽引する方法で、変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニアなどの腰痛疾患に用いられる。
四肢に対する直達牽引法としては、骨にキルシュナー鋼線を刺入し、これに牽引装置を取り付ける鋼線牽引が一般に行われ、骨折や脱臼の整復や整復位の保持、関節の変形や拘縮の矯正などに用いる。介達牽引法には絆創膏(ばんそうこう)を皮膚に貼付(ちょうふ)する絆創膏牽引、スポンジを貼(は)ったベルトをつけるスピードトラック牽引などがあるが、牽引力は鋼線牽引よりも弱い。
[永井 隆]
四肢または軀幹に牽引力を作用させ,(1)骨折,脱臼の整復,(2)除圧,免荷,安静,(3)拘縮の除去などを行う方法。(1)(3)は緩徐で持続的な矯正力を作用させ,軟部組織を保護しつつ,緩徐な整復を行うものである。(2)は関節炎がおもな対象である。牽引力を作用させる方法には直接牽引と間接牽引とがある。直接牽引法skeletal tractionとは直接骨に牽引力を作用させる方法で,鋼線による牽引などがある。間接牽引法skin tractionは皮膚面を介して牽引を行うもので,絆創膏やスピードトラックが用いられる。そのほか,腰痛に対する骨盤牽引,頸椎症に対する頸椎牽引などがある。
執筆者:近藤 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…浮流によって運搬される物質は浮流物質(おもに河川水中のもの),懸濁物質または浮遊砂などと呼ばれる。掃流tractionは砕屑粒子が流れの中を底面に沿って運搬される形式で,転動rolling,滑動sliding,躍動saltationという3種類の運搬形式を総称したものである(図1)。掃流によって運搬される物質は掃流物質と呼ばれる。…
※「牽引療法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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