出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
頸椎の
頸椎の変化は主に加齢や外傷が原因で起こります。加齢による頸椎の変化には個人差がありますが、一般的には40歳ごろから明らかになります。高齢になるほどその変化が強くなるため、頸椎症は中高年者で多く発症します。
症状が急激に現れることはなく、頸部の症状から始まり、徐々に上肢や下肢の症状が出てきます。
頸部の症状としては、肩や首の筋肉が緊張し(肩こりなど)、圧痛がみられます。また、頸部の前屈や後屈時に後頸部から肩、上肢に放散する痛みが現れます。
上肢の症状としては、上肢の痛みとともに脱力感、疲労感、手指の感覚異常、冷感、こわばりを感じることがあります。また手先の仕事、書字、物を摘むなどの動作ができにくくなり、時間がかかるようになります。感覚異常は圧迫部位の高さに一致しており、たとえば第5頸椎椎間板による圧迫時は拇指が、第6頸椎椎間板の時は中指が、第7頸椎椎間板の時は小指にそれぞれ感覚異常を来します。症状が進行すると、手の筋肉が萎縮したり、皮膚温の低下、発汗異常、手指の変形などがみられます。
脊髄に圧迫が起こると下肢の症状が現れ、歩行障害、便秘、排尿障害などの症状が現れます。
また椎骨の変形により頭蓋内に行く動脈が圧迫されると、首を曲げた時などに血行障害が起こり、めまいを引き起こすこともあります。
首を横に曲げ、頭部を圧迫した時に上腕に痛みが走ったり(スパーリング検査)、首を軽く後方へ曲げ、頭部を圧迫した時に上腕に痛みが走れば(ジャクソン検査)、この病気が疑われます。
頸椎の単純X線写真で、椎体骨の扁平化、硬化、骨棘形成、
神経根の圧迫症状に対しては、頸部周囲の筋肉の緊張を和らげる治療を行います。就寝時の姿勢も大切で、枕の高さを調節して軽度の前屈位をとるようにします。薬物療法としては、非ステロイド性消炎薬や
牽引やカラーを用いた装具療法を早期に行えば、症状の進行をかなり食い止めることができます。日常生活に支障を来す場合には、入院して強力な牽引を行うか、手術による治療が行われます。
吉井 文均
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
…頸椎症,変形性頸椎症ともいう。脊椎椎体や椎間板および靱帯(じんたい)の退行性変化は,骨棘(こつきよく)形成,椎間板ヘルニア,靱帯骨化などとして現れ,正常の加齢(老化)現象としてみられる。…
※「頸椎症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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