犯罪収益移転防止法

ビジネス用語集の解説

犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法(正式名称:「犯罪による収益の移転防止に関する法律」)とは、顧客が本人と
一致しているか確認する内容を定めた法律の事をいいます。

平成13年9月11日に米国で発生した同時多発テロ事件を発端とし「テロリズムに対する資金供与防止
に関わる国際条約」に署名し受諾された事から、正式に平成15年1月6日より本人確認法
施行されました。

金融機関がマネーロンダリングなどの犯罪に利用される事を防ぐため本人確認法が施行されて
いましたが現在は廃止され、国際要請を受けた事により平成20年3月1日より犯罪収益移転防止法が
新たに施行されています。
この法では、本人確認法同様に金融機関は公的証書により本人特定事項を確認することが
義務づけられています。
また追加項目として10万円を越える現金を送金する場合にも本人確認を行うよう制定されました。

各金融機関は顧客の本人特定事項を確認し、その個人情報が漏洩する事などのないよう
管理しなければなりません。
法人であっても名称や主たる所在地を確認する事が義務付けられていますので、これから
起業される方や金融機関に従事される方は覚えておいた方がよい法律のひとつといえるでしょう。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

犯罪収益移転防止法

国際的な資金洗浄対策を進める政府間機関「金融活動作業部会」(FATF)勧告に基づき、昨年4月に一部施行。3月1日の全面施行で、金融機関に加え、宝石業や不動産業、私設私書箱業者などにも対象が拡大される。本人確認や取引記録を7年間保存し、疑わしい取引を監督官庁に届け出ることが義務づけられる。弁護士公認会計士など五つの「士業」については届け出対象外。

(2008-02-22 朝日新聞 夕刊 2社会)

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デジタル大辞泉の解説

はんざいしゅうえきいてん‐ぼうしほう〔ハンザイシウエキイテンバウシハフ〕【犯罪収益移転防止法】

《「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の略称》犯罪による収益が、組織犯罪を助長し、健全な経済活動に重大な悪影響を与えることから、そうした収益の移転を防止するための措置を講じることを定めた法律。金融機関・不動産業者・貴金属商・弁護士などの特定事業者に対して、顧客等の本人確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届け出などを義務付けている。平成20年(2008)施行。ゲートキーパー法

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百科事典マイペディアの解説

犯罪収益移転防止法【はんざいしゅうえきいてんぼうしほう】

正式には〈犯罪による収益の移転を防止する法律〉。2007年4月一部施行。2008年全面施行された。金融機関等による本人確認,取引記録保存,疑わしい取引の届出等を義務づける。従来は〈本人確認法〉と〈組織犯罪処罰法〉の二つによって,マネー・ローンダリングの取締り対策を講じてきたが,2003年の国際政府間機関〈マネー・ローンダリングに関する金融活動作業部会〉(FATF)(事務局はパリの経済協力開発機構内)の〈40の勧告〉で,金融機関のみならず,非金融業者(不動産・貴金属・宝石等取扱業者等),職業的専門家(法律家・会計士等)についても規制すべき対象として追加されることが求められた。この勧告は9.11テロを踏まえたものである。日本政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は,〈本人確認法〉と〈組織犯罪処罰法〉を一本化し対象業種を拡大する法案を作成,金融情報部門(FIU)を金融庁から国家公安委員会に移管することを決定した。本人確認の内容は従来と変わらないが確認対象者は宅地建物取引業者等が新たに追加された。2013年改正(2013年4月施行)では,確認が必要となる取引や取引者の個人特定情報,職業・事業内容・支配的株主等の確認事項が追加された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

犯罪収益移転防止法
はんざいしゅうえきいてんぼうしほう

マネー・ロンダリング(資金洗浄)や組織的な犯罪への資金供与を防止する措置を講じるための法律。正式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(平成19年法律第22号)で、「犯収法」「ゲートキーパー法」ともいう。犯罪収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、犯罪収益が移転して事業活動に用いられることで健全な経済活動に重大な悪影響を与えること、犯罪収益の移転がその剥奪(はくだつ)や被害の回復にあてることを困難にすることから、日本では金融活動作業部会(FATF(ファトフ))の勧告に基づき、犯罪収益の移転防止を図るために、2007年(平成19)3月31日に本法が制定された。翌4月1日に一部施行、2008年3月1日に全面施行となり、2013年と2016年には一部改正法が施行された。金融機関等の特定事業者に対して、顧客等の本人確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出などを義務づけている。[辻本衣佐]

制定の経緯

日本のマネー・ロンダリング対策は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を機に、「テロ資金供与防止条約」に署名し、これを受けて2003年1月6日に「本人確認法」(正式名称は「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」)が施行されて以降、強化されるようになった。しかし、金融機関等の本人確認が厳格になると、マネー・ロンダリングの形態も、不動産売買を利用したり、弁護士に資金の保管を依頼したりするなど、手口の複雑化・巧妙化がみられるようになった。また、2003年に改訂されたFATFの「40の勧告」(1990年に策定された、マネー・ロンダリング対策の国際基準)が、本人確認等の措置を講ずべき事業者の範囲を、金融機関のみならず非金融業者や職業的専門家にも拡大したことから、本法においても拡大が要請された。
 そこで、2004年12月、内閣官房長官を本部長とする国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部において、FATFの「40の勧告」の実施検討を盛り込んだ「テロの未然防止に関する行動計画」が策定された。2005年11月には、同推進本部において、警察庁が同勧告を実施するための法律案を作成すること、日本版FIUを金融庁から国家公安委員会・警察庁に移管することが決定された(FIU:Financial Intelligence Unit。金融情報部門や資金情報機関と訳される。各国が設置している、マネー・ロンダリング情報の受理・分析・提供を行う政府機関)。これにより、本人確認法と、組織的犯罪処罰・犯罪収益規制法の第5章(54条~58条「疑わしい取引の届出」)を一本化して策定された法律案が、2007年2月、第166回国会に提出され、同年3月に犯罪収益移転防止法として成立した。FIUの移管等を内容とする部分については同年4月施行、本人確認等の措置を講ずべきとされる事業者の範囲の拡大等、残余の部分については2008年3月に施行された(全面施行)。[辻本衣佐]

法の概要と改正

顧客との取引時に、公的証書をもって本人確認、本人確認記録・取引記録の作成・保存および疑わしい取引の届出が義務づけられる事業者は、金融機関等、ファイナンス・リース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、司法書士などの法律・会計の専門家(「疑わしい取引の届出」を除く)である。なお、法律・会計の専門家以外の事業者に義務づけられている「疑わしい取引の届出」により得られた情報を集約・整理・分析して捜査機関等に提供する業務は、国家公安委員会および警察庁が担う。[辻本衣佐]
2013年改正
2011年4月には、2008年の第三次FATF対日相互審査での指摘事項に関する議論、国内での振り込め詐欺等の被害状況を踏まえて、一部改正が行われ、2013年4月に施行された。この改正法では、確認事項が必要となる取引や、取引者の個人特定情報のほか、職業・事業内容、取引目的、支配的株主など、特定事業者がとるべき取引時の確認事項が追加された。また、電話転送サービス事業者の特定事業者への追加、取引時確認等を的確に行うための措置の追加、本人特定事項の虚偽の申告や預貯金通帳等の不正譲渡等にかかる罰則も強化された。[辻本衣佐]
2016年改正
2013年のロック・アーン・サミット(イギリスの北アイルランド、ロック・アーンで開催された主要国首脳会議)での「G8(ジーエイト)行動計画原則」を受けて、マネー・ロンダリングとテロ資金対策に法人の透明性の向上は不可欠であるとして、「法人及び法的取極めの悪用を防止するための日本の行動計画」が同年6月に公表された。さらに2014年11月には、対日相互審査や日本に関するFATF声明において指摘された顧客管理に関するFATF勧告の水準を満たすように一部改正が行われ、2016年10月に施行された。この改正法では、疑わしい取引の判断方法の明確化、コルレス契約締結時の厳格な確認、事業者が行う体制整備等の努力義務の拡充等がなされた。なお、本人確認の身分証明書に顔写真のないもの(健康保険証、国民年金手帳など)を使用する場合は証明する書類を2点以上提示することなど手続が厳格化された一方で、公共料金や入学金等の支払いにかかる取引で、マネー・ロンダリングに利用されるおそれがきわめて低いと考えられる取引については、確認の簡素化がなされた。[辻本衣佐]
『香月裕爾編『Q&A 改正犯罪収益移転防止法と金融実務――取引時確認と疑わしい取引の届出』改訂版(2016・経済法令研究会) ▽中崎隆・小堀靖弘著『詳説 犯罪収益移転防止法・外為法』第2版(2017・中央経済社)』

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