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獲得形質 かくとくけいしつacquired character

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

獲得形質
かくとくけいしつ
acquired character

後天性遺伝形質ともいう。先天性遺伝形質に対する言葉。すなわち,生物が生れたのちに,外界の影響によって得た形質。たとえばナイフによる切り傷や学習による知識など。獲得形質は普通遺伝子に関係しないので遺伝しない。 J.ラマルク進化論では,やや素朴に獲得形質の遺伝により進化が進むと考えたが,C.ダーウィンは全体としては重視せず,さらに A.ワイスマンらにより徹底的に排撃された。微生物や害虫の抵抗性「獲得」も,抵抗性の高い変異体の生残りとして理解される。

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知恵蔵の解説

獲得形質

生物個体が一生の間に、環境の影響や鍛錬によって獲得した形質。獲得した形質が遺伝するかどうかはラマルクの用不用説以来、長い論争があり、特に獲得形質の遺伝を主張するルイセンコ学派と、それを否定するワイスマン学派の論争は有名。現在では分子生物学のセントラルドグマ(central dogma)の確立に伴い、獲得形質の遺伝は否定されている。ただし、微生物では、環境物質が子孫世代の遺伝子発現に影響を及ぼす例が知られている。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

かくとく‐けいしつ〔クワクトク‐〕【獲得形質】

生物が1代の間に、環境の影響によって得た形質。学習による能力、形態上の変異などをいう。遺伝するかについて20世紀初めごろ論争があったが、現在は否定される。後天形質

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百科事典マイペディアの解説

獲得形質【かくとくけいしつ】

ネオ・ラマルキズム

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世界大百科事典 第2版の解説

かくとくけいしつ【獲得形質 acquired character】

生物が一生の間に環境の影響によって得た形質のことで,その生物が遺伝的にそなえている形質(先天性形質)に対して後天性形質ともいう。端的な例をあげれば,トレーニングによってきたえられた筋肉とか,本来草丈の高い植物が高山に芽生えたために矮性(わいせい)化したとかである。獲得形質が遺伝するかどうかをめぐる論争の歴史は古い。ギリシア時代のヒッポクラテスアリストテレスもこれに関連した議論をしている。下って18~19世紀のJ.B.deラマルクは彼の進化論を展開するにあたって獲得形質遺伝を肯定していて,キリンの首が長い理由を説明する際に採用した用不用説(使用する器官は発達し,不使用器官は退化する)は有名である。

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大辞林 第三版の解説

かくとくけいしつ【獲得形質】

生物が環境要因あるいは器官の用不用により得た形質で、後世に遺伝的に伝えられないもの。後天性形質。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

獲得形質
かくとくけいしつ

後天的形質ともいわれ、個体の発生から死ぬまでの一生の間に獲得された性質をいう。生物の進化の原因として、あるいは品種改良の方法として、環境による形質の後天的変化が役だつといわれたことがあったが、現在では獲得形質は、親から子へ伝えられる遺伝情報に変化をおこさず、したがって遺伝しないと考えられている。[井山審也]

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