デジタル大辞泉 「獲麟」の意味・読み・例文・類語 かく‐りん〔クワク‐〕【獲×麟】 《麟は麒麟きりん。孔子が、その著「春秋」の「西に狩りして麟を獲たり」の句で筆を絶って死んだところから》1 絶筆。または、物事の終わり。2 臨終。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「獲麟」の意味・読み・例文・類語 かく‐りんクヮク‥【獲麟】 〘 名詞 〙 ( 「麟」は麒麟(きりん)。聖人が出て王道の行なわれる時に現われるという想像上の獣 )① ( 「春秋‐哀公一四年」の「春西狩獲レ麟」による ) 麒麟を捕獲すること。また、魯の哀公が麒麟を捕えたという事件。また、その年。紀元前四八一年。[初出の実例]「広雅と云書には開闢より獲麟に至りて二百七十六万歳とも云」(出典:神皇正統記(1339‐43)上)[その他の文献]〔劉琨‐重贈盧諶詩〕② ( 孔子が筆を加えたという「春秋」が、「西狩獲レ麟」の句で終わっているところから ) 絶筆、物事の終わり。転じて、一般的に、臨終、辞世をいう。[初出の実例]「贈爵の新恩は銘石に刻む。獲麟の後集は世丘を知る〈大江以言〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)下)[その他の文献]〔元和本下学集(1617)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
故事成語を知る辞典 「獲麟」の解説 獲麟 文章を書き終えること。転じて、ものごとの終わり。また、死ぬことや、死ぬ直前に残す辞世の歌や句のこと。 [使用例] さて、古聖人の獲麟を気取るわけでもないけれど、聖戦下の新津軽風土記も、作者のこの獲友の告白を以て、ひとまずペンをとどめて大過ないかと思われる[太宰治*津軽|1944] [由来] 紀元前八~五世紀のことを記録した中国の歴史書、「春秋」の本文が、「西のかた狩りして麟りんを獲えたり(西の方で狩猟をして、麒き麟りんをつかまえた)」という記事で終わっているところから。「麒麟」とは、現在でいうキリンではなく、理想的な帝王が出現するときに現れると信じられていた、想像上の動物のこと。乱世にそのような聖なる動物が捕獲されたことを嘆いた孔子は、そのできごとを、自分で整理編集していた「春秋」に書き込み、しばらくして亡くなった、と伝えられています。そこから転じて、死ぬことや、時世の歌や句などをも指すようになりました。 出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
日本大百科全書(ニッポニカ) 「獲麟」の意味・わかりやすい解説 獲麟かくりん 文章を書くことをやめること、絶筆、擱筆(かくひつ)の意から、転じて、物事の終わりの意となり、さらに孔子の死、臨終、辞世の意ともなった。「獲麟」とは麒麟(きりん)を得たとの意で、中国春秋時代に魯(ろ)の哀公(あいこう)が西方に狩りをし、麒麟をとらえたという故事によるが、孔子が『春秋』を著したとき、「哀公一四年春西狩獲麟」と書いて筆を絶ち、世を去ったと伝えられることによって、上記のような種々の意味に転用される。[田所義行] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例