玄応(読み)ゲンノウ

デジタル大辞泉 「玄応」の意味・読み・例文・類語

げんのう〔ゲンオウ〕【玄応】

中国、唐初の僧。長安大慈恩寺に入り、玄奘げんじょうもと経典翻訳従事音韻学に通じ、「一切経音義」(玄応音義)25巻などを著した。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「玄応」の意味・読み・例文・類語

けん‐おう【玄応】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「けんのう」「げんのう」とも ) 信心する心が通じ神仏から助力を得ること。神仏の感応冥応
    1. [初出の実例]「遂逆賊之誅伐、猶霊廟之玄応也」(出典玉葉和歌集‐文治元年(1185)一〇月一七日)

げんのうゲンオウ【玄応】

  1. ( 「げんおう」の連声(れんじょう) ) 中国、唐初の僧。長安の大慈恩寺で、玄奘(げんじょう)の経典漢訳に参加音韻文字の学に精通し、「一切経音義」(「玄応音義」)を著わした。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「玄応」の意味・わかりやすい解説

玄応
げんのう

生没年不詳。中国唐(とう)代初期、音韻および唯識(ゆいしき)に秀でた学僧俗姓、出身地などは不明。長安の大慈恩寺(だいじおんじ)にあって経典の翻訳に従事し、音韻文字の学に優れた。玄奘(げんじょう)の訳場に、字学大徳として参加し、648年(貞観22)ころ勅により『一切経音義(いっさいきょうおんぎ)』25巻を撰(せん)した。これは世に「玄応音義」と称して斯学(しがく)の規範となったが、惜しむらくは未完にして寂しており、のち慧琳(えりん)(737―820)が継承して100巻とした。著書に『摂大乗論疏(しょうだいじょうろんしょ)』『弁中辺論疏(べんちゅうへんろんしょ)』『因明論疏(いんみょうろんしょ)』など。

[伊藤隆寿 2017年2月16日]

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世界大百科事典(旧版)内の玄応の言及

【一切経音義】より

…中国,経律論の難読難解字および音訳漢字に対する音注義注の書で,玄応(げんのう)著(7世紀半ば)と慧琳(えりん)著(810)の2種がある。玄応は文字大徳として玄奘(げんじよう)の訳場に列した。…

※「玄応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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