一切経音義(読み)いっさいきょうおんぎ(英語表記)Yi-qie-jing yin-yi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一切経音義
いっさいきょうおんぎ
Yi-qie-jing yin-yi

中国,唐の慧琳 (えりん) 撰。建中4 (783) ~元和2 (807) 年刊。 100巻。唐の玄応の『一切経音義』 (『玄応音義』) 25巻やそれ以前に出ていた各種の音義類を集大成したもので『慧琳音義』ともいわれる。 1225部の大小乗経律論から難解な字句を抜き出して精密な注釈をつけたものである。本書によって『切韻』の音韻体系が当時すでに変化を起していることがうかがわれる。本書は中国では滅び,日本に残るのみである。

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デジタル大辞泉の解説

いっさいきょう‐おんぎ〔イツサイキヤウ‐〕【一切経音義】

一切経の難語句について、発音と意味を解説した仏書。
唐の玄応撰。25巻。648年ころ成立。玄応音義。
唐の慧琳(えりん)撰。100巻。783~807年に成立。慧琳音義。

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世界大百科事典 第2版の解説

いっさいきょうおんぎ【一切経音義 Yī qiè jīng yīn yì】

中国,経律論の難読難解字および音訳漢字に対する音注義注の書で,玄応(げんのう)著(7世紀半ば)と慧琳(えりん)著(810)の2種がある。玄応は文字大徳として玄奘(げんじよう)の訳場に列した。慧琳はカシュガルの人で,訳経家不空Amoghavajraの弟子である。音注は当時の長安音を反映するとされ,〈慧琳音義〉には特に音節構成要素の分析的観察がみられる。〈玄応音義〉の義注は,清代の学者によって文献学的研究に活用された。

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大辞林 第三版の解説

いっさいきょうおんぎ【一切経音義】

音義書。唐の僧玄応撰。二五巻。648年頃なる。四五四部の仏典の成語の音義を説いたもの。現存する音義書としては最古。玄応音義。
音義書。唐の僧慧琳えりん撰。一〇〇巻。783~807年撰出。一二二〇部の仏典を扱い、玄応音義など従来のものを集大成。慧琳音義。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

一切経音義
いっさいきょうおんぎ

仏教経典における音韻や難解な字句に対する注釈書。中国唐(とう)代につくられ、この名でよばれるものに2種類ある。
(1)648年(貞観22)ころに大慈恩寺の玄応(げんのう)が勅により撰述(せんじゅつ)したもので、25巻からなる。「玄応音義」とよばれる。454部の経律論(きょうりつろん)のなかの熟語についてサンスクリット音を参照して注解している。現存の音義では最古のもので、解釈も正確、多数の古逸書をも引用している点で貴重である。
(2)783年(一説に788年)から807年(一説に810年)の間に慧琳(えりん)が著したもので、100巻からなる。「慧琳音義」とよばれる。『玉篇(ぎょくへん)』『説文(せつもん)』『字林』『字統』『古今正字(ここんせいじ)』『文字典説』『開元文字音義』などを参照しつつ、『大般若経(だいはんにゃきょう)』に始まり『護命放生経(ごみょうほうしょうきょう)』に終わる1220部の経律論の熟語を注解している。本書の特色は、玄応音義を継承し、さらに雲公(うんこう)、基(き)、慧苑(えおん)の音義をも加えて整備した点であろう。音義としてはもっとも精密である。[伊藤隆寿]

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