王道・覇道(読み)おうどう・はどう

百科事典マイペディア 「王道・覇道」の意味・わかりやすい解説

王道・覇道【おうどう・はどう】

中国の政治思想元来,王は殷周封建制の諸侯に君臨する権威者,覇は春秋時代に諸侯を統制した実力者をいう。戦国時代中期に孟子原義を転用し,儒教政治的理想を表現するために王道を立て,その反対概念として覇道をおいた。王道は天によって任命された王の行う文治政治であり,周公の政治が理想とされ,覇道は実力者の行う武断政治で,春秋斉の桓公(かんこう)が最初覇者である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王道・覇道」の意味・わかりやすい解説

王道・覇道
おうどう・はどう
Wang-dao Ba-dao

中国儒家の政治思想。王道とは先王 (王者) の行なった道徳政治,覇道とは春秋時代の覇者の行なった武力による権力政治。孔子は徳を政治原理とする仁政を理想としたが,孟子は王道と覇道を峻別し,両者は仁と利,徳化と武力の相違とした。そして王道の前提として人民の経済的安定を重視し,そのための諸策を講じた。戦国末の荀子はより現実的な王覇論を展開し,王者-覇者-強者-危者-亡者系列のなかで,覇者の存在意義を高め,承認した。統一国家の漢においては,表現を孟子にかりたが,立場は荀子に近い王道論が政治原理として採用され,さらに董仲舒が陰陽五行説を導入して天人相関説を唱えた。

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