武断政治
ぶだんせいじ
江戸初期,初代将軍徳川家康から秀忠・家光までの幕府政治の傾向
17世紀前半はまだ戦国時代の気風が残り,家康・秀忠・家光3代の政治は,おもに武力を背景に外様大名などの諸勢力を制圧することにあった。大名の改易・減封などの処分もその例で,このような政治支配を武断政治という。4代将軍家綱の時代から文治政治に転換するが,のちの享保の改革・寛政の改革・天保の改革など,幕藩体制の強化をはかる諸改革も武断的傾向を有した。
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武断政治【ぶだんせいじ】
武力・強権を発動して圧伏させる政治手法,理念をいい,文治(ぶんち)政治に対応する。日本史上では江戸初期,幕藩制の確立期にとられた政治政策。諸大名の改易や取りつぶしにより多くの浪人が生まれ,1651年に起きた由比正雪(ゆいしょうせつ)の乱の反省や幕藩体制の確立もあって,4代将軍徳川家綱(いえつな)は文治政治に転換していったとされる。
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ぶだん‐せいじ〔‐セイヂ〕【武断政治】
1 武力をもって行う政治。
2 特に江戸初期、3代将軍家光までの政治支配のありかた。→文治政治
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ぶだん‐せいじ ‥セイヂ【武断政治】
〘名〙 武力を用いて専制的に行なう政治。〔五国対照兵語字書(1881)〕
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世界大百科事典内の武断政治の言及
【文治政治】より
…儀礼,法制,教化などの整備充実を通じて社会秩序の安定を維持しようとする政治。武力,権謀による強圧を主軸とする武断政治と対蹠的に用いられる。語句としては古く《礼記(らいき)》にも見えるが,日本ではとくに17世紀中ごろ,江戸幕藩政治が武断から文治へ転換したというのが通説的見解である。…
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