武断政治(読み)ブダンセイジ

デジタル大辞泉 「武断政治」の意味・読み・例文・類語

ぶだん‐せいじ〔‐セイヂ〕【武断政治】

武力をもって行う政治
特に江戸初期、3代将軍家光までの政治支配のありかた。→文治政治

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精選版 日本国語大辞典 「武断政治」の意味・読み・例文・類語

ぶだん‐せいじ‥セイヂ【武断政治】

  1. 〘 名詞 〙 武力を用いて専制的に行なう政治。〔五国対照兵語字書(1881)〕

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「武断政治」の解説

武断政治(ぶだんせいじ)

武人(軍人)の武力による専制的な政治。典型は中国,唐末五代。8世紀初めより,唐は異民族に備えるため,辺境に節度使を設置,安史の乱後は反乱に対処するために内地にも多く設けた。黄巣(こうそう)の乱以降,これらの節度使は中央政府の弱体化に乗じ,私兵を蓄え各地に割拠,軍事権ばかりでなく行政権や財政権も掌握して,藩鎮(はんちん)と呼ばれる強力な地方勢力を形成した。このような武人の台頭がもたらした政治をさす。

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百科事典マイペディア 「武断政治」の意味・わかりやすい解説

武断政治【ぶだんせいじ】

武力・強権発動して圧伏させる政治手法,理念をいい,文治(ぶんち)政治に対応する。日本史上では江戸初期,幕藩制の確立期にとられた政治政策。諸大名改易や取りつぶしにより多くの浪人が生まれ,1651年に起きた由比正雪(ゆいしょうせつ)の乱の反省幕藩体制の確立もあって,4代将軍徳川家綱(いえつな)は文治政治に転換していったとされる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「武断政治」の解説

武断政治
ぶだんせいじ

江戸初期,初代将軍徳川家康から秀忠・家光までの幕府政治の傾向
17世紀前半はまだ戦国時代の気風が残り,家康・秀忠・家光3代の政治は,おもに武力を背景に外様大名などの諸勢力を制圧することにあった。大名の改易・減封などの処分もその例で,このような政治支配を武断政治という。4代将軍家綱の時代から文治政治に転換するが,のちの享保の改革・寛政の改革・天保の改革など,幕藩体制の強化をはかる諸改革も武断的傾向を有した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「武断政治」の解説

武断政治
ぶだんせいじ

武力・強権の発動によって政務を断行する政治体制。法令や教化を基礎に政治を行う文治政治に対比するもの。かつては17世紀中葉の江戸幕府の政治の転換を「武断」から「文治」への移行としてとらえ,享保期の政治を武断政治の復活とする考え方があったが,近年では「武断」「文治」という対比で幕府政治をとらえることは少なくなっている。

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世界大百科事典(旧版)内の武断政治の言及

【文治政治】より

…儀礼,法制,教化などの整備充実を通じて社会秩序の安定を維持しようとする政治。武力,権謀による強圧を主軸とする武断政治と対蹠的に用いられる。語句としては古く《礼記(らいき)》にも見えるが,日本ではとくに17世紀中ごろ,江戸幕藩政治が武断から文治へ転換したというのが通説的見解である。…

※「武断政治」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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