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現代の英雄 げんだいのえいゆうGeroi nashego vremeni

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

現代の英雄
げんだいのえいゆう
Geroi nashego vremeni

ロシアの作家 M.レールモントフの小説。 1839~40年発表。『ベーラ』『マクシム・マクシムイッチ』『タマーニ』『公爵令嬢メリー』『運命論者』の5編から成る。作者の旅行記の形で始り,コーカサスを旅行中に出会ったマクシム・マクシムイッチから聞いた話として1編と2編が展開され,主人公ペチョーリンとベーラの恋,およびベーラの死が語られ,あとの3編がペチョーリンの手記の形で,黒海沿岸の町タマーニでの事件,令嬢メリーをめぐる主人公とグルシニツキーとの決闘などが語られる。なにものにも情熱を傾けられない「余計者」を主人公にして巧みに構成され,A.プーシキンの『エブゲーニー・オネーギン』と並ぶロシア文学の古典として高い地位を占めている。

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百科事典マイペディアの解説

現代の英雄【げんだいのえいゆう】

レールモントフの小説。《Geroi nashego vremeni》。1840年作。豊かな才能に恵まれた青年士官ペチョーリンが恋愛と冒険にも満足できずに滅びていく姿を5編の連作小説の形で物語る。

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世界大百科事典 第2版の解説

げんだいのえいゆう【現代の英雄 Geroi nashego vremeni】

ロシアの作家レールモントフの小説。1839‐40年《祖国雑記》誌に発表した分に2編を加えて1840年に刊行。カフカスを舞台に青年将校ペチョーリンを主人公に繰り広げられる五つの短編から成り,前半の2編は旅行記,後半の3編は日記体。構成の妙,雄大なカフカスの自然描写,簡潔な文体と,それ以上に特筆すべきは主人公の心理分析の深さである。ありあまる行動力を持ちながらその目的を知らず,自分を〈精神的片端〉とみなす主人公の意識の底には,デカブリストの反乱敗北後の1830‐40年代インテリ青年の挫折感がある。

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大辞林 第三版の解説

げんだいのえいゆう【現代の英雄】

レールモントフの小説。1840年刊。余計者の系譜に連なる貴族青年ペチョーリンを主人公とする五編の短編からなる連作。ロシアで最初の近代的な心理小説として、後世に大きな影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

現代の英雄
げんだいのえいゆう
Герой нашего времени Geroy nashego vremeni 

ロシアの詩人・小説家レールモントフの長編小説。1840年刊。『祖国雑記』誌へ個別に掲載した3編と未発表の2編の中・短編小説(『ベーラ』『マクシム・マクシームィチ』『タマーニ』『公爵令嬢メリー』『運命論者』)からなり、共通の主人公ペチョーリンの人間像を、外から内へしだいに移る視点で明らかにしていく独特の構成原理によって組み替えられた連鎖形式の小説の形をとっている。社会的・哲学的諸問題を含む複雑なテーマを、事件の継起にしたがってではなく、主人公の内的世界の展開を筋にして配置し、人間存在の本質に迫ろうとした、ロシア文学史上最初の散文小説として評価されている。
 ペチョーリンは、デカブリストの乱が鎮圧された直後のロシア社会で窒息させられ、カフカスの山岳民族抑圧戦争へ追放されたとおぼしい貴族青年将校で、並はずれた知力と行動力を有効に発揮できぬまま破滅していく自己を鋭く深く分析しながら、どうすることもできず苦悩する。作者は、「カフカス人」化した人のいい老ロシア軍人、「自然人」である密貿易人や山岳民の若者とか娘を対極的に描くが、安易なロマン主義的理想化に堕してはいない。上流社会の俗物たちはペチョーリンの辛辣(しんらつ)な行動の犠牲にされる。主人公のこの「不道徳性」を非難する声が発表と同時に保守反動層から沸騰した。作者が第2版の序文に書いた反論は新創作原理の定式化でもある。トルストイ、ドストエフスキーらへの影響は大である。日本でも明治時代、森鴎外(おうがい)訳『ぬけうり』、小金井喜美子訳『浴泉記』で早くから紹介されている。[木村 崇]
『中村融訳『現代の英雄』(岩波文庫)』

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