瓷器(読み)ジキ

デジタル大辞泉 「瓷器」の意味・読み・例文・類語

じ‐き【×瓷器】

土器より堅い焼き物。磁器成立以前の原始的なものをさすことが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「瓷器」の意味・読み・例文・類語

じ‐き【瓷器】

  1. 〘 名詞 〙 奈良平安時代に焼かれた硬質の施釉(せゆう)陶器。古代中国では一般に釉(うわぐすり)のかかった焼物を称した。しのうつわもの。磁器。〔延喜式(927)〕 〔柳宗元‐代人進瓷器表〕

し‐の‐うつわもの‥うつはもの【瓷器】

  1. 〘 名詞 〙 やきもの。陶器。土器。しのつき。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「瓷器」の意味・わかりやすい解説

瓷器 (しき)

奈良・平安時代に焼かれた施釉陶器。《和名抄》の器皿部,瓦器の条に〈瓷 唐韵に云う,瓷(疾資反,俗云瓷器,之乃宇豆波毛乃)は瓦器なり〉とあり,当時これを〈しのうつわもの〉と呼んでいたことが知られる。また中国唐代の《一切経音義》に〈瓷器は瓦の類なり。加うるに薬石をもってし,色に光沢あり〉とあって,釉薬を施した陶器を指している。奈良時代の文書には瓷,瓷鉢,瓷油坏などの文字が見えるが,平安時代に入ると,867年(貞観9)の《安祥寺伽藍縁起資財帳》や950年(天暦4)の《仁和寺御室御物目録》に青瓷薫呂,青瓷鉢,白瓷盤などの記載があって,瓷器に青瓷(あおし)と白瓷(しらし)の2種のものがあったことが知られる。青瓷は1117年(永久5)の正倉院文書《綱封蔵見在納物勘検注文》では青子の文字を用いており,アヲシと呼ばれて三彩,緑釉陶器を指している。白瓷は《伊呂波字類抄》巻九に〈白瓷 シラシ,瓦器,白-青-等〉とあり,《小右記》や《島田文書》などの記載から,尾張美濃で焼かれた灰釉陶器を指すとみられる。青瓷すなわち三彩,緑釉などの鉛釉を施した彩釉陶器奈良三彩とも呼ばれ,唐三彩の影響によって生まれたといわれているが,すでに7世紀後半に朝鮮南部の緑釉の影響を受けて緑釉単彩陶の焼かれていたことが知られている。三彩,二彩などの多彩釉陶器の製作は8世紀のみで,9世紀から11世紀前半までは緑釉陶を主とし,一部で白釉緑彩陶および白釉陶が焼かれた。白瓷すなわち灰釉陶器は8世紀中葉に愛知県猿投(さなげ)窯において焼かれ始め,9世紀には中国越州窯の施釉技法を導入して本格化した。10世紀には需要の増大にともなって,東海地方から滋賀県まで生産地の拡散をみた。灰釉技法は自然降灰を意図した原始灰釉から時代を追って刷毛塗りへ,さらに漬掛けへと変化したが,11世紀末には無釉の白瓷系陶器(山茶碗)に転化した。青瓷,白瓷はいずれも主として宗教用具として用いられた。
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普及版 字通 「瓷器」の読み・字形・画数・意味

【瓷器】しき・じき

磁器。

字通「瓷」の項目を見る

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