生活圏(読み)せいかつけん

精選版 日本国語大辞典 「生活圏」の意味・読み・例文・類語

せいかつ‐けん セイクヮツ‥【生活圏】

〘名〙 地域住民が通学通勤買物医療娯楽など日常生活のうえで、行政区画に関係なく、密接に結合している範囲領域物資流通や金融支配などの範囲である経済圏と対比される。
小説方法(1948)〈伊藤整日本の方法「現代日本を認識する立場を、現代日本の外に自分現実の生活圏として持った」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生活圏」の意味・わかりやすい解説

生活圏
せいかつけん

特定の地域に居住する人たちの恒常的な生活行動場所、その範囲をいう。すなわち、買物、レクリエーション、通勤・通学、医療、政治、農産物出荷など生活上の行動する領域、範囲をいう。それは商品やサービスの供与を受ける消費者側からの立場であり、商品やサービスを供給する側からの商圏都市圏などに対する意義をもつ。生活圏は総合的な意味をもつが、単一の行動を取り上げて買物圏、通勤・通学圏などとよばれたりする。行動の範囲は、その頻度や機能の差によって、日常、週末、月末、季末、年末の各圏に分かれ、階層的な構成をみる。生活圏を一定の限られた地域に定めようとするのが定住圏の構想であり、それによって地域格差の解消や、過疎・過密をなくそうとする。なお、低い段階のものは一次日常生活圏とよばれる。第二次世界大戦時、ドイツが国土計画に生活圏構想を採用したことは有名である。

[沢田 清]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生活圏」の意味・わかりやすい解説

生活圏
せいかつけん
sphere of living

人間の生活のための行動に主眼をおき,買物,医療,レクリエーション,教養,通勤・通学などの行動が主として行われる範囲 (地域) をいう。それらの行動を果すための機能が集中するところはおもに都市であり,その都市の活動に主眼をおいた都市圏とほぼ同意義に解されている。第2次世界大戦時,ドイツの地政学者が国土計画のために用いてから,一般的に使われるようになった。

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岩石学辞典 「生活圏」の解説

生活圏

特定の生物群(biota)[=植物群(flora)および動物群(fauna)]が,一定の生態を保ち生活している特定の環境条件を持つ地域[Dunbar & Rodgers : 1957].ギリシャ語のbiosは生命,toposは場所の意味.

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世界大百科事典(旧版)内の生活圏の言及

【生物圏】より

…生活圏ともいう。地球上で生物が生存している場所の全体を指す。…

【都市圏】より

… 都市圏とは都市が主体となり,ややもすれば都市が周辺の農村地域を従属させているとの意が強いというので,都市と周辺の農村地域を同等に扱い相互依存,補完という意味で,補完地域,都鄙(とひ)共同圏などの語が用いられている。また住民の側に立ち,その生活する範囲という意味で生活圏という語も用いられている。それらは観点やアプローチが異なるのであるが,事象,構造などは都市圏とまったく同じである。…

※「生活圏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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