谷口雅春(まさはる)が創立した諸教系の新宗教教団。1929年(昭和4)末に「物質はない」「一切現象は念(こころ)の所現」「生命の実相を知れ」などの神示を受けた谷口が、翌1930年3月に創刊した修養誌『生長の家』を、のちにそのまま教団の名とした。無限に生長する「いのち」こそ自己の本質という自覚に悦(よろこ)びあふれる人々が集う「家」を象徴する。1932年に同誌をまとめ、読むと病気が治るとする教典『生命の実相』が発刊され、1935年に教化団体生長の家と名のり、1940年に宗教結社、1952年(昭和27)に宗教法人となって、1957年8月現名に改称した。教典には『生命の実相』全40巻、『真理』全11巻、『谷口雅春選集』『甘露(かんろ)の法雨(ほうう)』『天使の言葉』『続々甘露の法雨』がある。教義には、谷口自身の回心(かいしん)体験に基づいて仏教、神道(しんとう)、キリスト教など諸宗教の教説や近代哲学、精神分析などの学説を取り込んで、宇宙を久遠(くおん)生命の発現と把握することで万教帰一(ばんきょうきいつ)をも主張し、修行には、教典の読誦(どくじゅ)、先祖供養の徹底のほか、病気や苦悩を克服するために「神想観」を実修する。本部(事務所)を東京都渋谷区神宮前に置き、全国に教化部・道場を設け、長崎県西海(さいかい)市西彼(せいひ)町に総本山の顕斎殿(けんさいでん)、京都府宇治市に別格本山の幽斎(ゆうさい)殿がある。神社数2、布教所数1、その他126、教師数1万4335、信者数55万0310(『宗教年鑑』平成26年版)を数え、海外もおもに北米、ブラジル中心の南米全土への布教が進んでいる(2000年時点の国外布教施設266)。
[薗田 稔]
谷口雅春が創立した大本教系の新宗教。1929年,谷口は〈物質はない,実相がある〉との神示を受けて教義を確立,30年神戸で雑誌《生長の家》を創刊し,32年より雑誌のバックナンバーを合本し,聖典《生命の実相》としてつぎつぎに刊行した。34年上京して株式会社光明思想普及会を設立し,《白鳩》《光の泉》など各種の雑誌で文書布教を始めた。教義は,谷口の回心体験をふまえ,仏教,キリスト教,神道等の諸宗教の教説をはじめ,カント,ヘーゲル,エマソン,フロイトの学説を我流にとりこんだもので,宇宙を久遠の生命のあり方として把握することで万教帰一を主唱し,病気や苦悩の克服のための神想観とよぶ修行を創案した。病気なおしとともに出版で利益をあげ,36年教化団体として登録し,天皇絶対,聖戦完遂を熱心に説いた。第2次世界大戦後は谷口が公職追放にあったこともあり,一時自由と平和を主唱したが,52年ころより谷口の指導が強化され,64年生長の家政治連合を結成,天皇の元首化,靖国神社国家護持,堕胎防止等をかかげ,帝国憲法体制への復帰をめざす政治社会運動を展開した。総本山は長崎県西海市の顕斎殿,京都府宇治市に宇治別格本山幽斎殿がある。
執筆者:大濱 徹也
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…生長の家の創立者。本名正治。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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