田間(読み)でんかん

精選版 日本国語大辞典 「田間」の意味・読み・例文・類語

でん‐かん【田間】

〘名〙
① 田と田の間。他の田との間の空地。また、田んぼ。
日次紀事(1685)五月「植終後至秋三度取田間之莠」 〔史記‐李広伝〕
田舎(いなか)田園
最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎〉九「蒼々たる故郷の山嶽、穰々たる田間(デンカン)沃野最後楽園として懐(おも)ふの外には」

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普及版 字通 「田間」の読み・字形・画数・意味

【田間】でんかん

田の中。〔後漢書、王丹伝〕家、千金を累ね、隱居志、好施にして(すく)ふ。農時に、輒(すなは)ち酒肴を田に載せ、むるを候(み)て、之れを勞す。邑聚相ひ(ひき)ゐ、以て殷富を致す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「田間」の意味・わかりやすい解説

田間
でんかん / ティエンチエン
(1916―1985)

中国の詩人安徽(あんきアンホイ)省無為(ぶい)県出身。本名童天鑑。1933年上海(シャンハイ)光華大学に学ぶ。34年左翼作家連盟に参加、『新詩歌』『文学叢報(ぶんがくそうほう)』を編集。37年日本に遊学マヤコフスキーの影響を受ける。38年夏延安(えんあん/イエンアン)地区へ赴き、抗日主要根拠地であった山西、河北、チャハル3省の境界地区で、現実に発する軽快でリズム感にあふれる独特の抵抗詩を発表。49年以降、作家協会創作部副部長、文学講習所主任、河北省文連主席を歴任。詩集に『未明(みめい)集』(1935)、『中国牧歌』(1936)、『戦闘者へ』(1943)、『抗戦詩抄』(1949)、『誓詞』(1953)、『清明』(1979)など。詩論に『海燕頌(かいえんしょう)』(1958)。著作集『田間詩文集』全4巻(1991)がある。

[秋吉久紀夫]

『秋吉久紀夫訳編『中国現代詩集』(1962・飯塚書店)』『秋吉久紀夫著『華北根拠地の文学運動――抗日戦期の成長と発展』(1976・評論社)』『秋吉久紀夫著『近代中国文学運動の研究』(1979・九州大学出版会)』『秋吉久紀夫編訳『精選中国現代詩集――変貌する黄色の大地』(1994・土曜美術社出版販売)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田間」の意味・わかりやすい解説

田間
でんかん
Tian Jian

[生]1916.5.
[没]1985
中国の詩人。安徽省蕪湖県の人。本名,童天鑑。上海の光華大学卒業。 1935年処女詩集『未明集』を発表。抗日戦争中は延安で「街頭詩」の運動を提唱,また華北の解放区で政治工作に従事。解散後は朝鮮戦争に従軍してルポルタージュ『板門店物語』を書いた。力強く明るい簡潔な詩風で,朗誦に適した作品が多い。文化大革命で批判されたが,四人組失脚以後復活し,78年第五回全国人民大会代表に選ばれた。中国文学芸術界連合会委員を歴任。詩集『戦う人へ』 (1943) ,『抗戦詩抄』 (50) ,『英雄歌』 (59) ,叙事詩『かん車伝』 (46) など。

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