発情ホルモン(読み)ハツジョウホルモン

デジタル大辞泉 「発情ホルモン」の意味・読み・例文・類語

はつじょう‐ホルモン〔ハツジヤウ‐〕【発情ホルモン】

エストロゲン

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精選版 日本国語大辞典 「発情ホルモン」の意味・読み・例文・類語

はつじょう‐ホルモンハツジャウ‥【発情ホルモン】

  1. 〘 名詞 〙 ( ホルモンは[ドイツ語] Hormon ) =らんぽうホルモン(卵胞━)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「発情ホルモン」の意味・わかりやすい解説

発情ホルモン
はつじょうほるもん

脊椎(せきつい)動物一般にみられる雌性ホルモンに属する一群のホルモンで、おもに卵巣の内莢膜(ないきょうまく)細胞か、それに由来する間細胞から分泌される。卵胞ホルモン濾胞ホルモン(ろほうほるもん)ともいわれる。胎盤副腎(ふくじん)皮質精巣からも少量分泌され、哺乳(ほにゅう)類にみられるおもな発情ホルモンはエストロンエストラジオールエストリオールの3種である。妊婦の胎盤ではエストリオールが多量に生成される。多くの哺乳類の交尾に不可欠の発情を誘発するため、発情ホルモンとよばれるが、そのほかにも二次性徴の発達、生殖に必要な雌の生殖付属器官や乳腺(にゅうせん)の機能的発達、卵巣の濾胞形成を促進する。同時に全身の代謝活動を盛んにしたり、副腎を肥大させるなどの性器外作用も有する。また無脊椎動物、たとえば棘皮(きょくひ)動物や甲殻類の卵巣中にも検出されるが、その生理的意義は不明である。発情ホルモンは植物にも存在し、ある種のクローバーはそれを食べるヒツジを不妊にしてしまうほどの量を含んでいる。なお多量の発情ホルモン投与が妊娠初期の切迫流産を防止する効果をもつところから、臨床的に合成発情ホルモンが使用されたが、生まれた子の生殖付属器官に癌(がん)が多発することが明らかになり問題となっている。またウシ、ヒツジあるいは魚などの飼料にこのホルモンを混ぜると体重増加率がよいことから使用されるが、肉の中に残るホルモンの妊婦などに対する影響が心配され、アメリカではその使用が禁止された。

[守 隆夫]

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化学辞典 第2版 「発情ホルモン」の解説

発情ホルモン
ハツジョウホルモン
estrogen

エストロゲン,卵胞ホルモン,濾胞ホルモンなどともいう.下垂体前葉の卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で卵巣濾胞,胎盤などより分泌される女性ホルモンであり,黄体ホルモンと協力して性周期を起こさせる.発情ホルモンは,天然にはエストロン,エストラジオール,エストリオールの3種類が知られている.これらは妊婦尿,妊馬尿より抽出,またはコレステロールから化学合成されている.スチルベストロール,ヘキセストロール,ベンゼストロールなどの合成ホルモンも発情ホルモン作用をもっている.女性および雌の動物の生殖器の発育を促進し,機能調節および保持,性の二次的特徴を表す役割をつかさどるホルモンである.卵巣機能障害,月経困難,更年期障害などの治療に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の発情ホルモンの言及

【エストロゲン】より

…雌の動物に発情estrusを起こさせるものという意味で,一群の雌(女)性ホルモンをさし,発情ホルモン,卵胞ホルモン,濾胞ホルモンともよばれる。動物体内で分泌されるエストロゲンはすべてステロイドで,A環はフェノールである。…

【発情】より

…卵巣の状態から発情周期をみると,濾胞(ろほう)(卵胞)の成熟する濾胞期,濾胞から成熟卵が排出される排卵期,および排卵後の濾胞から黄体の発達する黄体期に分けられる。卵巣からは,濾胞期には主として発情ホルモン(エストロゲン)が,黄体期には主として黄体ホルモンが分泌される。これらのホルモンにより,生殖器,副生殖器の変化が調節されている。…

※「発情ホルモン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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