皮膚色調(読み)ひふしきちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

皮膚色調
ひふしきちょう

ヒトの皮膚の色。皮膚の色調表皮の色とそこに含まれる色素顆粒 (メラニン) ,真皮層の色素細胞毛細血管の血液量,皮下脂肪組織などによって決められる。乳頭乳輪肛門外陰部などは色が濃く,手掌足底,頭の有髪部などは淡い。また一般に伸側より屈側が明るい色をしている。男性は女性より,成人は小児より色が濃い。また体内条件の病的変化によっても変る。人種による差は著しく,暗色褐色,黄色,白色の4系に分類してさらに細別している。日本人などのモンゴロイドは帯淡紅黄色に属する。

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百科事典マイペディアの解説

皮膚色調【ひふしきちょう】

ヒトの皮膚判別の一基準。表皮の深層にあるメラニン色素の量,カロチン量や,表皮の厚さなどで決定される。メラニン色素の量が多いと暗調,少量だと明調となる。体の部位による違いが顕著。古くから人種分類のために使われた。

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世界大百科事典 第2版の解説

ひふしきちょう【皮膚色調 Hautfarbe[ドイツ]】

ヒトの皮膚の色調は諸種の要因により決定されるが,最も大きな働きをするのは顆粒状をしたメラニン色素である。メラニンはフェノール類が酸化酵素によって酸化されて,主として色素細胞や結合組織細胞の中に合成される。メラニン合成能力のない場合に白子となる。メラニンは黄色から暗褐色までの色調を帯びているが,皮膚色調の差はメラニンの性質よりも量によって決まる。皮膚のうちの表皮にあるメラニンは出産後に増加し,真皮の色素は蒙古斑の原因となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

皮膚色調
ひふしきちょう
skin color

人類の皮膚の色調は人種その他の要因によって著しく異なる。色調の変異のおおかたは、皮膚中に含まれるメラニン色素量の多少により決定される。メラニン色素が少ない場合は、皮下の血液の色の透過によって皮膚は赤みや青みを帯びてみえる。また表皮の角化が進んでいると、白っぽくなる。皮膚には少量ながらカロチンという黄色色素が含まれている。また黄疸(おうだん)を患うと、ビリルビンにより皮膚は黄ばんでくる。皮膚色調の表示にはいくつかの方法が試みられている。
(1)黒褐色から淡白色までの間を13段階の色調名で表現する。
(2)色相、明度、彩度を一連の数式で分類、呈示する。
(3)種々の色調を配列した比色表を作成し、皮膚と対比する。
(4)光電色沢計で皮膚色調を数量的に測定する。しかし、皮膚自体の物理学的特性があるため、理想どおりの皮膚色調の表現は困難である。
 人体の外観は皮膚色調により著しく影響されるが、今日のような移動の激しい時代以前の地球上の人類全体を見渡すと、濃色の皮膚をもつ者は、低緯度地帯に集中して住み、緯度が高くなるにつれて淡色の者が増加する。濃色の皮膚は熱線をよけいに吸収し、熱帯では不利のようにみえるが、発汗作用によって身体は冷却される。ここでは光線内の有害な紫外線の体内侵入を阻止するほうが重要であり、そのために表皮から真皮にかけてメラニン色素が多量に含まれる。メラニン色素は紫外線を阻止し、皮下まで透過させない。遺伝子情報の乱れから、動物のなかにはメラニン色素を産出できない個体が、ある頻度で出現するが、これを白化現象という。この現象は人類にもみられ、比較的淡色の肌の個体が生まれるが、熱帯では生存しにくい。緯度が高く、また曇天などによって日照量が少ない地方では、紫外線の影響が及びにくく、住民全体の皮膚の明色化が進む。とくに日照量の少ないヨーロッパ北半地帯では明色の肌の個体のほうが有利である。骨の発育にはビタミンDが必要であるが、ある波長の紫外線照射があれば、体内でビタミンDが生成されるからである。以上のように人類の皮膚色調と日照量の間には密接な関係がある。同じコーカソイドでも北欧人の肌は明色、インド人は濃色である。
 皮膚の色で人種差別をすることはそれ自体無意味きわまる。同じ人種でも皮膚色調にはある程度の個人差があり、また遺伝の影響を強く受ける。同一個人でも身体部位により濃淡の差があり、露出部では皮膚内のメラニン生成が盛んになり、日焼けする。外陰部などの皮膚色は本来濃い。モンゴロイドの小児の尻部から背中にかけて小児斑(しょうにはん)がみられるが、これは真皮の深層に色素細胞が沈着したものである。[香原志勢]

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