監物(読み)ケンモツ

デジタル大辞泉 「監物」の意味・読み・例文・類語

けん‐もつ【監物】

律令制で、中務なかつかさに属し、大蔵おおくら内蔵うちくらなどの出納を監督し、諸庫の鍵を管理していた職。おろしもののつかさ。けんもち。

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精選版 日本国語大辞典 「監物」の意味・読み・例文・類語

けん‐もつ【監物】

〘名〙 令制で、中務(なかつかさ)省に属して、大蔵内蔵などの出納(すいとう)および諸庫の監察、管理をした官職大監物二人、中・少監物各四人の職員がいる。官位相当は、それぞれ従五位下、従六位下、正七位下。おろしもののつかさ。けんもち。
三代実録‐貞観一二年(870)一二月二五日「又内記監物解由状、一准判事

おろしもの‐の‐つかさ【監物】

〘名〙 令制で、中務(なかつかさ)省に属して、大蔵、内蔵などの出納(すいとう)を監察、管理した官人。けんもつ。
書紀(720)持統七年四月(北野本訓)「監物(オロシモノノツカサ)巨勢邑治、物己(おのかみ)に入れずと雖も」

けん‐もち【監物】

和泉式部集(11C中)下「けんもちゆきつねが うちはぶく浪の上をばきぬながにすがくれたるか鳥の見えぬは」

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改訂新版 世界大百科事典 「監物」の意味・わかりやすい解説

監物 (けんもつ)

日本古代の令制官司である中務(なかつかさ)省に属する品官(四等官の系列外の官)の一つ。大監物2人,中・少監物各4人,史生4人より成る。職掌は庫蔵の物の出入に立ち会って監察し,鍵を後宮闈司(みかどつかさ)から請け取り,またこれを返納することであった。古訓〈おろしもののつかさ〉は,物を出す方に監察の重点が置かれたことを示す。中務省の典鎰(てんやく),内蔵寮大蔵省の主鎰等を監督する重職で,大監物は五位相当官であった。
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世界大百科事典(旧版)内の監物の言及

【典鑰】より

…管鑰(かぎ)を出納することをつかさどる。諸官司の庫蔵の鑰は中務省の監物(けんもつ)が毎朝請(う)け取り毎夕返すが,請け出した鑰の実物は典鑰が出納する。庫蔵の物の出納は大蔵省・中務省被管内蔵寮に属する大・少主鑰(しゆやく)が担当する。…

※「監物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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