日本大百科全書(ニッポニカ) 「盧仝」の意味・わかりやすい解説
盧仝
ろどう
(768?―835)
中国、中唐の詩人。字(あざな)不詳。玉川子(ぎょくせんし)と号す。范陽(はんよう)(河北省涿(たく)県)の人。洛陽(らくよう)の陋巷(ろうこう)に住んで仕えず、世人との交際を好まなかったが、韓愈(かんゆ)からその詩、学問を高く評価された。835年(太和9)11月、宰相の李訓(りくん)らが宦官(かんがん)勢力の一掃を図って失敗した甘露の変に際し、巻き添えとなって殺害された。蝦蟇(がま)が月を食うというイメージで天文現象の月食をとらえた怪奇な詩である「月蝕(げっしょく)詩」、および「筆を走らせて孟諫議(もうかんぎ)の新茶を寄せらるるに謝す」詩が著名であり、『茶経(ちゃきょう)』の著者陸羽(りくう)とともに、日本でも茶人の間に名を知られる。『玉川子詩集』がある。
[齋藤 茂]
『山之内正彦・成瀬哲生著『中国古典詩聚花7』(1985・尚学図書)』