(読み)またたき

精選版 日本国語大辞典 「瞬」の意味・読み・例文・類語

ま‐たたき【瞬】

〘名〙
① (古くは「まだたき」とも) またたくこと。まばたき。めばたき。
平家(13C前)五「入道相国をちゃうどにらまへて、まだたきもせず」
※俳諧・炭俵(1694)下「凩や盻(マタタキ)しげき猫の面〈八桑〉」
② 星や遠く灯火などが、ちらちらと明滅すること。
太郎坊(1900)〈幸田露伴〉「一陣の嵐はさッと起って籠洋燈の火を瞬(マタタ)きさせた」
③ またたきをする程度のわずかな時間。瞬時(しゅんじ)。またたく間(ま)
※落語・佃島(1900)〈初代三遊亭金馬〉「颶風(はやて)の方は瞬時(マタタキ)におこり立ちどころに止む」

ま‐たた・く【瞬】

〘自カ五(四)〙 (「目(ま)(たた)く」の意。古くは「まだたく」とも)
上下の瞼(まぶた)をしばしば開いたり閉じたりする。まばたきをする。まじろぐ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 灯火や星などが消えそうに明滅する。光がちらちらする。
源氏(1001‐14頃)夕顔「火はほのかにまたたきて」
③ (灯火の消えそうにまたたくさまから) どうやら生き長らえている。
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「よみぢのほだしに持てわづらひ聞こえてなむまたたき侍る」

ま‐ばた・く【瞬】

〘自カ五(四)〙
① 上下のまぶたをぱちぱちと開閉する。めばたく。またたく。
搦手から(1915)〈長谷川如是閑〉くつしたの穴「電気作用のやうにぴりぴりと瞬(マバタ)く癖がある其の眼で」
② 星や灯火などの光が明滅する。またたく。
※星を造る人(1922)〈稲垣足穂〉「その都会夜景が、全体きらきらとまばたく燈火にイルミネートされて」

ま‐ばたき【瞬】

〘名〙
① 上下のまぶたをぱちぱちと開閉させること。めばたき。またたき。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
② (比喩的に) 星や灯火などの光が明滅すること。
草枕(1906)〈夏目漱石一一「小さい星がしきりに瞬きをする」

ま‐じろぎ【瞬】

〘名〙 (動詞「まじろぐ(瞬)」の連用形名詞化。古くは「まじろき」) まばたき。
※天正本節用集(1590)「瞬 マジロキ」
五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉一〇「瞤(マジロ)ぎもせでぐいと睨(ね)めしが」

め‐まじろき【瞬】

〘名〙 (後世は「めまじろぎ」とも) まばたきすること。また、目で合図をすること。目くばせ。
※源氏(1001‐14頃)東屋「少将、右近、めまじろきをして、かたはらぞ痛く、おはすらむと、いふも、ただなるよりは、いとおし」

ま‐じろ・ぐ【瞬】

〘自ガ五(四)〙 (古くは「まじろく」) まばたきをする。またたく。まばたく。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「三日三夜目交睫(マシロカ)ず」

め‐ばたき【瞬】

〘名〙 まばたきをすること。また、そのようにして合図すること。またたき。まばたき。めたたき。
※洒落本・寸南破良意(1775)きおい「かぶりをふって、めばたきをして小声にて」

め‐まじろ・く【瞬】

〘自カ四〙 (後世は「めまじろぐ」とも) まばたきをする。また、目で合図をする。目くばせする。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

め‐ばた・く【瞬】

〘自カ四〙 まばたきをする。またたく。まばたく。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「瞬」の意味・読み・例文・類語

しゅん【瞬】[漢字項目]

常用漢字] [音]シュン(呉)(漢) [訓]またたく
まばたきをする。また、それほどの短い時間。「瞬間瞬時瞬息一瞬

め‐まじろぎ【瞬】

《「めまじろき」とも》まばたき。また、目くばせ。
「尊天は―一つせで威儀を崩さず」〈露伴・新浦島〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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