平安時代以降,公家,武家を通じてある種の役所ないしは部署に置かれた役職の一つ。おおむね,その役所ないしは部署の事務を統轄するものであった。朝廷では,和歌所,御書所,内御書所,記録所,院文殿などに置かれ,また摂関家文殿にもみられる。たとえば記録所では,上卿-弁-開闔-寄人という職員構成であったように,開闔はその役所,部署の長官ではないが,いわば事務主任とでもいうべき要職であって,多く能吏が任命された。武家においては,鎌倉幕府,室町幕府の引付(ひきつけ)に開闔が存在した。引付は訴訟審理の専門機関であり,若干名の引付衆(室町幕府では内談衆とも呼ばれた)と若干名の引付奉行人とから成るが,引付衆の上首が頭人,引付奉行人の上首が開闔である。開闔は当該引付における訴訟事務を指揮,統轄する。特に鎌倉幕府においては,当該引付で作成した判決原案(すなわち〈引付勘録事書〉)を評定の席で読み上げることは開闔の専当事項であった。室町幕府においてはこのほか侍所,地方(じかた)にも開闔があった。また禅律方開闔,神宮開闔もあった。
執筆者:山本 博也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…それによれば引付内談は,定期的には月6回,引付頭人邸で開かれ,引付衆および奉行人が出席する。奉行人中の古参者が会議の事務長役である開闔(かいこう)を務める。会議では,開闔による案件説明の後,メンバーがあらかじめくじによって決められた順番に従って意見を述べる。…
…歌会始【藤岡 忠美】
[和歌所寄人]
和歌所の職員は寄人(よりうど),また召人(めしうど)とよばれた。《後撰集》の撰者5人は〈梨壺の五人〉として著名だが,1201年7月,後鳥羽院の院宣によって開設された和歌所には,源家長を開闔(かいこう)(書物の出納・管理等にあたる職)として,当代の有力歌人の藤原良経,源通親,藤原俊成ら14人が寄人に任命された。同年11月にはこの寄人の中から,源通具,藤原定家ら6人が《新古今集》の撰者となっている。…
※「開闔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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