矢代幸雄(読み)ヤシロユキオ

デジタル大辞泉 「矢代幸雄」の意味・読み・例文・類語

やしろ‐ゆきお〔‐ゆきを〕【矢代幸雄】

[1890~1975]美術史家・美術評論家。神奈川の生まれ。英文で発表したボッティチェリ研究で世界的な注目を集めた。東洋日本美術分野でも活躍

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

20世紀日本人名事典 「矢代幸雄」の解説

矢代 幸雄
ヤシロ ユキオ

大正・昭和期の美術史家,美術評論家 大和文華館初代館長。



生年
明治23(1890)年11月5日

没年
昭和50(1975)年5月25日

出生地
神奈川県横浜

学歴〔年〕
東京帝大文科大学英文科〔大正4年〕卒

主な受賞名〔年〕
文化功労者〔昭和40年〕,朝日文化賞〔昭和41年〕「日本美術の特質」,フリーア・メダル〔昭和40年〕

経歴
大正4年東京美術学校構師、6年教授。第一高等学校教授も兼任。10年ヨーロッパ留学。イタリアでB.ベレンソン師事、14年ロンドンのメディチ・ソサエティから英文の「Sandro Botticelli」(3巻)を刊行、ボッティチェリ研究で成果をあげ同年帰国。昭和5年帝国美術院付属美術研究所設立に関係し、東洋美術研究の態勢づくりを提唱、同年主事。7年機関紙「美術研究」を創刊、10年所長に就任した。この間、アメリカ、イギリスの諸大学で講義。17年教育勅語誤読事件で研究所を辞任、19年美校教授を退官。また、近畿・日本鉄道社長種田虎雄の依頼で東洋、日本古美術品の収集に当たり、毎年中国へ旅行した。25年文化財保護委員会発足と共に保護委員。26年欧米を回り日本古美術展開催を交渉、31年パリに各国代表を集めフランスオランダ、イギリス、イタリア巡回日本古美術展準備会を主宰、33年同巡回展を実現させた。35年近鉄依頼による大和文華館創立、初代館長となり45年まで務めた。38年芸術院会員、40年文化功労者に選ばれ、41年「日本美術の特質」で朝日文化賞を受けた。著書は他に「受胎告知」「随筆レオナルド・ダ・ヴィンチ」「随筆ヴィナス」「近代画家群」「芸術のパトロン」「水墨画」「私の美術遍歴」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「矢代幸雄」の意味・わかりやすい解説

矢代幸雄 (やしろゆきお)
生没年:1890-1975(明治23-昭和50)

美術史家。横浜市生れ。1921年渡欧し,ロンドン留学を経てフィレンツェのベレンソンのもとで修業。師に学んだ様式批判的方法と世紀末的唯美主義の融合した立場から,日本人としてはほとんど唯一の英文美術史の大著《サンドロ・ボッティチェリ》(全3巻)を著す(ロンドン,1925,邦訳1977)。25年の帰国後は主として日本・東洋美術を対象とし,《日本美術の特質》(1943),《水墨画》(1969)などを著すとともに,欧文の論文や海外での講義を通じて,日本・東洋美術の海外への紹介につとめた。36年美術研究所(現,東京国立文化財研究所)初代所長。大和文華館設立に尽力し,60年初代館長となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「矢代幸雄」の意味・わかりやすい解説

矢代幸雄【やしろゆきお】

美術史学者。横浜生れ。東大英文科卒業後美術評論に活躍。1921年渡欧してルネサンスを中心に西洋美術史を研究,ハーバード大学講師になったほか英国の諸大学で日本美術を講義するなど,東洋美術の海外紹介にも尽力。美術研究所長,東京美術学校教授,大和文華館館長等を歴任。著書に《サンドロ・ボッティチェルリ》《日本美術の特質》などがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「矢代幸雄」の意味・わかりやすい解説

矢代幸雄
やしろゆきお

[生]1890.11.5. 横浜
[没]1975.5.25. 平塚
美術史家,美術評論家。東京帝国大学英文科卒業。東京美術学校教授として西洋美術史を担当,1921~25年欧米に留学。ハーバード大学講師,イギリス諸大学派遣教授,帝国美術院幹事,同付属美術研究所所長,文化財保護委員,大和文華館館長などを歴任。 62年日本芸術院会員,70年文化功労者。主著は,ロンドンで出版された『サンドロ・ボティチェリ』 Sandro Botticelli (1925) ,『日本美術の特質』 (43) ,『東洋美術論考』。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「矢代幸雄」の解説

矢代幸雄 やしろ-ゆきお

1890-1975 大正-昭和時代の美術史家,美術評論家。
明治23年11月5日生まれ。大正10年ヨーロッパに留学。ボッティチェリ研究で注目をあびる。帰国後は美術研究所(現東京国立文化財研究所)の設立に参画,昭和11年所長。戦後は文化財保護委員,大和文華館初代館長などをつとめた。38年芸術院会員。45年文化功労者。昭和50年5月25日死去。84歳。神奈川県出身。東京帝大卒。著作に「日本美術の特質」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「矢代幸雄」の解説

矢代 幸雄 (やしろ ゆきお)

生年月日:1890年11月5日
大正時代;昭和時代の美術史家;美術評論家。大和文華館初代館長
1975年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android