石村検校(読み)イシムラケンギョウ

デジタル大辞泉 「石村検校」の意味・読み・例文・類語

いしむら‐けんぎょう〔‐ケンゲウ〕【石村検校】

[?~1642]琵琶法師出身の三味線演奏家。京都の人。三味線組歌本手組の作曲者といわれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石村検校」の意味・わかりやすい解説

石村検校
いしむらけんぎょう

生没年不詳。室町末期(16世紀後半)に琵琶法師(びわほうし)から三味線演奏家に転じ活動したといわれる。盲人。石村検校三絃(さんげん)の最初の取扱い者としたものに次の諸記録がある。

 文禄(ぶんろく)年間(1592~96)琉球(りゅうきゅう)(沖縄)に渡り、京都へ帰ってから三味線をつくりだしたという『糸竹初心集』の記述。琉球へ漂着した梅津少将が月琴を学び、1562年(永禄5)帰国後、その子石麻呂(のち盲官を得て石村検校)が月琴を改良して三味線をつくったとする『琉球年代記』の説。そして文禄のころ堺(さかい)中小路に住む石村検校が琉球から渡来した二絃の蛇皮線を改良して三線と名づけたとする『野河検校流三線統系序』の記述。ほかに『海録』などの諸書にもみえる。

 また、三味線組歌の本手の最初の作曲者といわれる。

[林喜代弘]

『藤田徳太郎著『三絃の免許状』(『東亜音楽論叢』所収・1943・山一書房)』『吉川英史著『三絃伝来考』(『三味線とその音楽』所収・1978・音楽之友社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「石村検校」の意味・わかりやすい解説

石村検校 (いしむらけんぎょう)
生没年:?-1642(寛永19)

江戸初期の盲人音楽家三味線音楽の最初の芸術的歌曲である三味線組歌創始者で,《琉球組》の作曲者に擬せられている。琉球に渡り帰京後三味線を作ったとか,梅津少将(久我敦通の子通世(みちよ)とも)の子の石麿であるなどの伝説が伝えられる。堺の中小路(なかしようじ)に住み,三味線の改良者の中小路という琵琶法師とは同一人であるという説が有力。胡弓の最初の演奏者ともされる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石村検校」の意味・わかりやすい解説

石村検校
いしむらけんぎょう

[生]?
[没]寛永19(1642).9.24. 京都
室町時代末期 (16世紀末) の盲人の音楽家。文禄 (1592~96) 頃琉球に渡り,胡弓を三味線に改良したという伝説があるが疑わしい。今日,地歌として伝承されている『琉球組以下の「三味線組歌」の「本手組」を作曲し,三味線音楽を芸術化した (→三味線本手 ) 。また,胡弓の最初の演奏者としても伝えられる。

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朝日日本歴史人物事典 「石村検校」の解説

石村検校

没年:寛永19.9.24(1642.10.17)
生年:生年不詳
江戸前期,日本で最初の芸術的三味線音楽である三味線組歌の創始者。検校は盲人社会の組織当道における階級で,その最高位。本手組(「琉球組」以下7曲)を作曲したといわれ,三味線の成立にかかわったともされるが,異説もある。また,胡弓の名手とする文献もある。<参考文献>平野健次『三味線と箏の組歌』

(千葉優子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「石村検校」の解説

石村検校 いしむらけんぎょう

?-1642 織豊-江戸時代前期の琵琶(びわ)法師。
琉球の三弦を改造して三味線をつくったとされ,三味線音楽最古の芸術的歌曲である三味線組歌「琉球組」などを作曲したといわれるが,異説もある。寛永19年9月24日死去。

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世界大百科事典(旧版)内の石村検校の言及

【地歌】より

…これを,〈三味線本手〉ないし〈本手〉と称したが,のちには〈三味線組歌〉などとも称した。その中でも最古典曲は,石村検校作曲とされる《琉球組》であるが,虎沢検校を経て柳川検校に至るまでに,増補・整理された。とくに柳川が〈カタバチ(片撥)〉(撥を弦にあてて胴皮におろす普通の弾き方とスクイ撥が交互になるモロバチが本手には用いられたが,これに対して普通の弾き方のみが連続する)の奏法によって新作したものを〈破(端・葉)手(はで)〉と称してから,それ以前のものを,狭義の〈本手組〉(表組)と称した。…

【三味線】より

…渡来してから多くの改良が加えられた。最初の改良者として,琵琶法師の仲小路(なかしようじ)説,石村検校説,さらにこの2人を同一人とする説もある。いずれにしてもこの楽器を最初に手にしたのは,当時の琵琶法師たちで,手指や義甲で弾いた中国の三弦を彼らがそれまで利用していた大きな撥で演奏するようになり,一木(いちぼく)をくり抜いて作った胴を,より大きくし4枚の板を合わせて作るようにした。…

【琉球組】より

…三味線組歌の曲名。三味線そのものを日本にもたらしたともいわれる石村検校の作曲と伝えられるが,虎沢検校の作または補作説もある。現行するものは,柳川流では柳川検校の編曲,野川流では野川検校の編曲と思われ,いずれも表組の第1曲とする。…

※「石村検校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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