日本大百科全書(ニッポニカ) 「石焼き」の意味・わかりやすい解説
石焼き
いしやき
石を熱して熱源とする料理法。各地に石焼きの郷土料理があるが、名称は同じでも内容は違う。原始的な料理法で、野趣がある。岐阜県の長良(ながら)川畔では、とりたてのアユを、熱した石の上にのせて焼く料理法がまだ残っているが、一般にはあまり行われていない。新潟県佐渡島の石焼きは、平らな石を熱し、みそでその上に円形の囲いをつくり、その中でアユを焼く。秋田県男鹿(おが)半島の石焼きは、海女(あま)がとった生きている海の小魚を器の中に泳がせておき、その中に熱い小石を数多く加えて煮る。埼玉県秩父(ちちぶ)では、熱した平らな石の上でとりたてのヤマメを焼く。宮崎県日向(ひゅうが)では、主として野草を材料とする。山中の平らな石の上でたき火をしてその石を熱し、たき火と灰を除き、石の上にみそを広げ、野草を加えて焼いて食べる。野草はタラ、カワセリ、カワキクラゲなど種類は多い。
[多田鉄之助]