中国栗をなべの中で砂といっしょにいり,熱がよく通ったときにゴマ油と砂糖を加えていり上げたもの。糖炒栗子と呼び,中国北部の重要な間食である。甘栗の作り方は,日本も中国も同じである。甘栗にするクリは中国北部の河北省辺で多産する。天津が集産地であったから日本では天津栗というが中国では板栗といい,品質は最も優れている。日本では平安時代,大臣に新任されたときの大饗(たいきよう)などのさい,朝廷から蘇(そ)と甘栗を賜るならわしがあり,それを届ける勅使を蘇甘栗使(そあまぐりのつかい)と呼んだ。この甘栗は干栗(ほしぐり)であったと思われるが,《延喜式》には干栗のほかに〈搗栗(かちぐり)〉〈平栗(ひらぐり)〉と呼ぶものもあり,それらと甘栗の違いはよくわからない。ちなみに,蘇は酥(そ)で,牛乳を煮つめたものだという。
執筆者:田中 静一+鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(1)中国産の天津(てんしん)グリを、甘味材料を加えた小砂利とともに炒(い)った、焼き栗の一種。天津甘栗ともいう。平鍋(ひらなべ)に、丸みのある小砂利を入れて加熱し、この中で天津グリを攪拌(かくはん)加熱しながら炒り上げる。砂糖の糖蜜(とうみつ)を加えて、香りづけと皮のつや出しを行う。明治時代、中国人が東京で売り出したのが始まりといわれている。日本産のクリと異なり、炒り上げたものは、爪(つめ)で皮に傷つけて割ると、外皮と渋皮が果肉からきれいにはがれる。
(2)搗栗(かちぐり)の皮、渋を除いたものを古くは甘栗といった。中古以来、大臣が、毎年正月または新任のとき諸大臣以下殿上人を招待して行う大饗(たいきょう)に、天皇が甘栗を下賜される習わしがあったが、この勅使を甘栗の使いといい、六位の蔵人(くろうど)が務めた。
[河野友美]
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…農作物中とくに重要なのは綿花で,石家荘以南の京広鉄道沿線一帯を主産地とし,産額は全国各省中第一である。その他の経済作物では麻,ラッカセイ,ゴマ,大豆,タバコなどがあり,果物では梨,ブドウ,桃,栗などが有名で,とくに栗は甘栗として日本人に親しまれ,東部の燕山山脈の南麓一帯に産する。牧畜としては張北高原に馬,牛,羊があり,張家口は家畜,毛皮の集散地である。…
…(1)チュウゴクグリC.mollissima Blume.(英名Chinese chestnut)は中国原産で,板栗といい,華北から雲南地方に分布する。天津甘栗あるいは甘栗の名称で市販されている焼き栗は華北の万里の長城周辺地域で生産されたものが天津市に集荷され,そこから輸出されたためにつけられた名前である。渋皮がはがれやすく,焼き栗にしたとき食べやすいが,日本での栽培はクリタマバチ被害のためむずかしい。…
※「甘栗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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