グラインダーともいう。工具として高速で回転する研削といし(といし車)を使用する工作機械で,切削加工が困難な焼入鋼や特殊合金鋼などの硬い材料までも加工することができる。といし車の表面にある多数の砥粒(とりゆう)が工作物に微少な切削を施すため,1000分の1mmオーダーの加工精度を得ることができ,その仕上面を表面の凹凸の高さで1万分の1mmオーダーの粗さにすることも可能である。とくに仕上面の粗さを小さくして鏡のようにする加工のことを鏡面研削仕上げと呼ぶことがある。なお,加工の際には切りくずや脱落した砥粒を除去し,かつ工作物を冷却するため研削液がしばしば用いられ,そのための装置がたいていの研削盤に備え付けられている。
といし車を用いた研削盤が出現したのは比較的新しく,19世紀の後半になってからである。すなわち,1876年にはミシンの部品を加工するため万能研削盤が作られ,その後1910年代に心なし研削盤が,20年代には歯車研削盤が登場した。60年代後半になるとといし車の高速化が行われだし,従来,ビトリファイドといしでは2000m/min前後であったものが3600m/min程度まで向上され,切削による前加工を省略して,研削加工だけで部品を加工することができる研削盤も現れた。
現在市販されているおもな研削盤は,円筒研削盤,内面研削盤,心なし研削盤,ならい研削盤,工具研削盤などであるが,そのほかに新幹線の車輪を研削する在姿車輪研削盤のような特殊な研削盤も作られている。
(1)円筒研削盤 工作物を回転させ,その外周面を研削仕上げするもの。一般に図1-aのように工作物側を移動させる(トラバース研削)が,ロール研削盤のように大型になるとといし側を移動させる。また図1-bのようにといし車を切込み方向に移動させるプランジ研削もあり,といし車の形状を成形した総形研削がその代表的な例である。円筒研削盤では緩いテーパー加工ができるが,万能研削盤では外周面のほかに急なテーパー加工,端面加工,さらに内面研削装置も取り付けられるようになっている。
(2)内面研削盤 おもに加工物の穴の内面を加工する機械で,端面加工ができる機械もある。円筒研削盤に比べといし車の外径が小さいため,その回転数が高い。ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルのように小さな内径(0.8mm程度)の加工では,高周波モーターを用いてといし車を15万rpmで回転させることがある。といし車とともに工作物も回転させるのが一般的であるが,工作物を回転させることが困難なときは,工作物の内面に接しながら,工作物の中心のまわりを公転するといし車によって研削を行ういわゆるプラネタリー形が用いられる。
(3)心なし研削盤 調整といし車と受板およびといし車とで工作物を保持し,かつ回転させて加工する機械。加工方法としては図2のように調整といし車を前進させて切込みを与える送込み研削のほかに,調整といし車を傾けて工作物をその軸方向に送る通し送り研削,調整といし車とといし車の間をその接線方向に通す接線送り研削などがある。また外周面の加工だけではなく内周面の加工用の心なし研削盤もある。
(4)平面研削盤 といし車の外周面,または側面を用いて平面を研削仕上げする機械で,工作物は直線往復運動,または回転運動をするテーブルの上に保持されている。工作物として多い鉄系の材料はおもに電磁チャックでテーブルに保持されるが,非鉄系の材料は静電チャックや真空チャックで保持されることがある。
→研削
執筆者:西脇 信彦+伊東 誼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
砥石(といし)を高速度で回転させ、砥石に切り込みを与えて、工作物を精密に仕上げる工作機械。砥石の運動と、工作物の運動の組合せにより多くの種類がある。たとえば円筒の内・外径用、平面用、歯車歯面やねじ面・カムなどの特殊曲面用などがある。普通の硬さの材料から、通常の切削工具では削れない焼入鋼や特殊合金鋼までの精密加工に、欠くことのできない工作機械である。
研削盤は、精密仕上げが目的なので、機械を構成する各ユニットには、高い精度が要求される。高速で回転する砥石軸は、回転中、軸心が軸受内で安定しているとともに、発熱を抑える必要があるので、種々のくふうが施されたものが開発されている。たとえば、静圧軸受、動圧軸受、超精密転がり軸受、磁気軸受などがあげられる。また、きわめて微細な寸法を研削するためには、精度の高い砥石切込み装置が必要で、切込み装置のねじや歯車には、逆回転などのときに生じるあそび(バックラッシbacklash)を除くための機構が必要とされている。切込み装置だけでなく、各部案内での直進運動精度も高くなければならない。制御技術の進展に伴い、数値制御(NC:Numerical Controlled)研削盤が開発され、複雑形状の工作物への対応とともに、砥石の自動交換機能を搭載し、各種研削加工を同一機械上で行える複合研削盤も多く使われるようになってきている。
砥石も研削能率の向上を目ざして新しいものが開発されている。砥石の外周(研削面)の速度が毎秒250メートルまで可能な高速研削用の砥石や、CBN(cubic boron nitride立方晶窒化ホウ素)砥石という、研削しにくい材料に対しても研削焼け、研削割れなどが生じにくく、また砥石摩耗が少なく安定した寸法精度が得られる砥石などがあげられる。
研削盤には、自動定寸装置を用いたり、自動サイクル運転機能を付加したりして作業能率を高めた機種もある。
[清水伸二]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…そのため,広義には臼はものを砕いたり,磨りつぶしたり,まぜたりする道具一般を指し,きわめて多岐にわたっている。石器時代において,搗き砕く目的につかう叩き石pounder(crusher)と,磨りつぶす目的につかう磨り石rubber(grinder)とは,すでにある程度の分化を示しているが,使い方により,どちらにも共用できるものもあり,その区別はつきにくい。これらの道具がしだいに大型化あるいは効率化してゆく過程で,さまざまの形態の臼に属する道具が発達し,その機能も専用化されてきた。…
…立て削り盤,形削り盤,平削り盤などはこの時期に開発された。19世紀後半以降,工作機械の発達の中心はアメリカおよびドイツに移り,この時期になると,現在のような電動機直結運転が行われ,研削盤,歯切盤などが開発された。20世紀に入ると,よりよい性能の製品を作り出すために,工作機械は急速な発展を遂げ,歯車研削盤,ホーニング盤などが開発された。…
※「研削盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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