硫カドミウム鉱(読み)りゅうかどみうむこう(英語表記)greenockite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫カドミウム鉱」の意味・わかりやすい解説

硫カドミウム鉱
りゅうかどみうむこう
greenockite

もっとも古くから知られたカドミウム鉱物。等軸晶系の方硫カドミウム鉱hawleyiteとは同質異像関係にある。また非結晶質相としてザンソクロアイトxanthochroiteという相も知られている。亜鉛鉱床の酸化帯中に、おもに閃(せん)亜鉛鉱の分解産物として産する。閃亜鉛鉱の少量成分として含まれていたカドミウムが硫化物の形で分離したものと考えられ、皮膜状ないし粉末状の集合をなすことが多い。イギリスではある種の半深成岩の空隙(くうげき)に、六方異極像の自形結晶として産することが知られている。日本のもので実際に本鉱物と確認されたものは少ない。英名はイギリスのグリーノック卿(きょう)Charles Murray Cathcart, Lord Greenock(1783―1859)にちなむ。

加藤 昭]


硫カドミウム鉱(データノート)
りゅうかどみうむこうでーたのーと

硫カドミウム鉱
 英名    greenockite
 化学式   CdS
 少量成分  Zn
 結晶系   六方
 硬度    3~3.5
 比重    4.82
 色     黄褐
 光沢    亜金剛
 条痕    橙赤
 劈開    三方向に明瞭
       (「劈開」の項目参照

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