日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫カドミウム鉱」の意味・わかりやすい解説
硫カドミウム鉱
りゅうかどみうむこう
greenockite
もっとも古くから知られたカドミウムの鉱物。等軸晶系の方硫カドミウム鉱hawleyiteとは同質異像関係にある。また非結晶質相としてザンソクロアイトxanthochroiteという相も知られている。亜鉛鉱床の酸化帯中に、おもに閃(せん)亜鉛鉱の分解産物として産する。閃亜鉛鉱の少量成分として含まれていたカドミウムが硫化物の形で分離したものと考えられ、皮膜状ないし粉末状の集合をなすことが多い。イギリスではある種の半深成岩の空隙(くうげき)に、六方異極像の自形結晶として産することが知られている。日本のもので実際に本鉱物と確認されたものは少ない。英名はイギリスのグリーノック卿(きょう)Charles Murray Cathcart, Lord Greenock(1783―1859)にちなむ。
[加藤 昭]