硫酸マンガン(読み)りゅうさんまんがん(英語表記)manganese sulfate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸マンガン」の意味・わかりやすい解説

硫酸マンガン
りゅうさんまんがん
manganese sulfate

マンガン硫酸塩。酸化数ⅡとⅢの塩が普通に知られる。

(1)硫酸マンガン(Ⅱ) 化学式MnSO4、式量151.0。水酸化マンガン(Ⅱ)または炭酸マンガン(Ⅱ)を硫酸に溶かした溶液から、0℃付近で七水和物、9~27℃で五水和物、27℃以上で一水和物の結晶が得られる。いずれもほとんど無色に近い淡赤色の単斜晶系結晶。熱すると400℃で無水和物となる。無水和物は淡赤色。融点700℃。比重3.23。850℃で分解する。水、エタノールエチルアルコール)に溶ける。53g/100g(0℃)。七水和物MnSO4・7H2Oは淡紅色結晶。天然にはマラーダイトmallarditeとして産する。塗料印刷インキの乾燥剤原料、窯業用顔料(リン酸マンガン)の製造、金属表面処理剤などの用途がある。

(2)硫酸マンガン(Ⅲ) 化学式Mn2(SO4)3、式量398.1。過マンガン酸カリウムと濃硫酸とを注意深く反応させて得る(爆発しやすい)。緑色結晶で、潮解性。比重3.24。水で加水分解するが、塩酸希硫酸に溶ける。酸化剤としての用途がある。

[守永健一・中原勝儼]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫酸マンガン」の意味・わかりやすい解説

硫酸マンガン
りゅうさんマンガン
manganese sulfate

(1) 硫酸マンガン (II)   MnSO4 。1,4,5および7水塩が知られているが,常温付近で安定なのは5水塩である。マンガンの水和物はいずれも美しいばら色を呈するが,400~450℃で脱水し,無水物となる。染色,赤色釉,ブドウやタバコ肥料などとして用いられる。 (2) 硫酸マンガン (III)   Mn2(SO4)3 。暗濃緑色の粉末であるが,熱するとすみやかに分解して無色の硫酸マンガン (II) に変る。酸性塩 Mn2(SO4)3・H2SO4・4H2O も知られており,過マンガン酸カリウムと濃硫酸から得られる。

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